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  1. 愛知県議会 2022-12-01
    令和4年12月定例会(第3号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 令和4年12月定例会(第3号) 本文 2022-12-06 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 53 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長須崎かん君) 選択 2 :  ◯議長須崎かん君) 選択 3 :  ◯七番(日高章君) 選択 4 :  ◯経済産業局長矢野剛史君) 選択 5 :  ◯建築局長成田清康君) 選択 6 :  ◯警察本部長鎌田徹郎君) 選択 7 :  ◯知事大村秀章君) 選択 8 :  ◯七番(日高章君) 選択 9 :  ◯議長須崎かん君) 選択 10 :  ◯二十一番(安井伸治君) 選択 11 :  ◯警察本部長鎌田徹郎君) 選択 12 :  ◯県民文化局長伊藤正樹君) 選択 13 :  ◯福祉局長橋本礼子君) 選択 14 :  ◯議長須崎かん君) 選択 15 :  ◯四十五番(新海正春君) 選択 16 :  ◯建設局長道浦真君) 選択 17 :  ◯四十五番(新海正春君) 選択 18 :  ◯四十番(南部文宏君) 選択 19 :  ◯議長須崎かん君) 選択 20 :  ◯議長須崎かん君) 選択 21 :  ◯副議長佐藤一志君) 選択 22 :  ◯三十二番(岡明彦君) 選択 23 :  ◯教育長(飯田靖君) 選択 24 :  ◯スポーツ局長(成瀬一浩君) 選択 25 :  ◯観光コンベンション局長(武田光弘君) 選択 26 :  ◯県民文化局長伊藤正樹君) 選択 27 :  ◯知事大村秀章君) 選択 28 :  ◯三十二番(岡明彦君) 選択 29 :  ◯副議長佐藤一志君) 選択 30 :  ◯三十六番(河合洋介君) 選択 31 :  ◯県民文化局長伊藤正樹君) 選択 32 :  ◯保健医療局長(吉田宏君) 選択 33 :  ◯福祉局長橋本礼子君) 選択 34 :  ◯副議長佐藤一志君) 選択 35 :  ◯二十四番(神谷和利君) 選択 36 :  ◯農林基盤局長(長田敦司君) 選択 37 :  ◯建設局長道浦真君) 選択 38 :  ◯都市・交通局長(金田学君) 選択 39 :  ◯知事大村秀章君) 選択 40 :  ◯二十四番(神谷和利君) 選択 41 :  ◯四十一番(山田たかお君) 選択 42 :  ◯副議長佐藤一志君) 選択 43 :  ◯副議長佐藤一志君) 選択 44 :  ◯議長須崎かん君) 選択 45 :  ◯七十三番(谷口知美君) 選択 46 :  ◯経済産業局長矢野剛史君) 選択 47 :  ◯教育長(飯田靖君) 選択 48 :  ◯知事大村秀章君) 選択 49 :  ◯七十三番(谷口知美君) 選択 50 :  ◯教育長(飯田靖君) 選択 51 :  ◯四十番(南部文宏君) 選択 52 :  ◯議長須崎かん君) 選択 53 :  ◯議長須崎かん君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時開議 ◯議長須崎かん君) ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 一般質問並びに第百六十号議案令和四年度愛       知県一般会計補正予算から第百九十八号議案       令和四年度愛知県一般会計補正予算まで 2: ◯議長須崎かん君) 第百六十号議案令和四年度愛知県一般会計補正予算から第百九十八号議案令和四年度愛知県一般会計補正予算までを一括議題といたします。  これより一般質問並びに提出議案に対する質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  日高章議員。     〔七番日高章君登壇〕(拍手) 3: ◯七番(日高章君) 皆様、おはようございます。  議席番号七番、自民党の日高章でございます。  議長にお許しをいただきまして、つえを使っての登壇ではございますが、今回、十二月議会の一般質問トップバッター、朝一番でございますので、昨日の夜は、私、夜十時には床に就いて、今朝はすっきりした朝を迎えております。よって、ワールドカップについては何もコメントできませんが、その分、元気いっぱい、けがを感じさせないぐらい張り切ってやってまいりたいと思います。どうか最後までよろしくお願いいたします。  さて、初めに、イスラエル国訪問団として渡航して知り得た視点で、海外スタートアップとの連携強化について質問します。  本県は、世界的に優位性の高い本県のモノづくり企業とスタートアップとを双方向から有機的に結びつけ、独自のあいちスタートアップ・エコシステムの形成を目指しています。そして、先進的な取組を行う海外スタートアップ支援機関と連携して世界で戦えるスタートアップのアクセラレート、研修プログラム等の実施を目指し、大村知事が率先してアメリカ、中国、シンガポール、フランスに赴き、海外スタートアップ支援機関や大学と覚書等を締結しています。  また、海外スタートアップ・エコシステムや有望企業の調査を通じて、海外スタートアップを誘引し、県内モノづくり企業等とのマッチングを図り、ネットワークを形成していくとしています。  そして、本年度、相手国としてイスラエル国が新たに加わり、大村知事が支援機関等と覚書締結を果たされ、我々訪問団も渡航するに至りました。  イスラエル国は、地中海に面する人口約九百五十万人のユダヤ人国家でありまして、首都として認め始められましたエルサレムには、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の三つの宗教の聖地があります。
     経済は、高度な技術力を背景としたハイテク、情報通信分野の進展により急速に発展を遂げており、今では、国民一人当たりのGDPは五万ドルを超えて、日本を抜いて世界第十五位にあります。最先端技術やデジタル分野でのアイデアや研究開発シーズでイノベーションを企て、ビジネスに展開する風土が国家的特徴でもあります。それを後押しするイノベーション庁などの公的機関も整っており、まさにスタートアップ先進国と言える様相であります。  そのようなイスラエルに入国して、我々訪問団は、最大の都市で日本が現在も首都と認定しているテルアビブに入り、早速、スタートアップ支援機関の現地調査を開始しました。初めに訪問した日本─イスラエル間の企業進出を支援するジャコーレでは、日本貿易振興機構(JETRO)と連携してグローバル・アクセラレーション・ハブを運営し、日系スタートアップのグローバル展開を支援している現状について視察しました。  ジャコーレによると、イスラエルのスタートアップは、国家的課題を解決すべく取り組む性質が強く、その課題の大きなものがサイバーセキュリティー、産業用ソフトウエア、水資源、農業イノベーションなどであり、このような国家的課題を見つけ、解決しようとするところにスタートアップの機会があるとのことでありました。  次に、県が本年五月にオープンイノベーション支援における連携協力に関する覚書を締結した相手先であるスタートアップ・ネーション・セントラルを訪問し、スタートアップ、企業、投資家などのデータベースとしてのスタートアップ・ネーション・ファインダーの運営状況を視察しました。それにより、イスラエルのスタートアップを詳細に観測し、イスラエルのテクノロジーエコシステムに精通することで、スタートアップと国内外の企業、政府、投資家、NGOなどとのパートナーシップ締結を巧みに推進している状況がよく分かりました。  これらのスタートアップ支援機関での意見交換では、資金面の支援を行っている独立した政府系機関、イノベーション庁の存在が大きいことも分かりました。イノベーション庁では、採択したスタートアップの研究開発事業に係る予算の五〇%を支援しており、とりわけ民間からの支援が得られにくいハイリスクな分野にも投資を行っているとのことでありました。  そして、訪問団は、スタートアップ企業であるH2ProとAirevを視察しました。H2Proは、水素エネルギー生成装置開発を手がけており、技術力の高さとその特殊性でシステムに対する世界的需要は極めて高く、今後の急成長が見込まれるものでありました。また、Airevでは、空飛ぶ車を開発しており、開発段階でありながら、既に百機以上の販売契約を結んでいるとのことで、その空飛ぶ車の実機を眼前にしつつ、高度な技術力と期待の高さをうかがい知ることができました。  実際に現地のスタートアップ企業を訪問して、その先進さだけではなく、スピード感やアグレッシブな経営マインド、チャレンジングな価値観、そして、従業員の方々の生き生きとした目の輝きを目の当たりにして、スタートアップが成功するための重要な要素を感じ取ることができました。  視察を続ける中で、イスラエルでスタートアップが成功している要因が幾つも見えてきました。それは、ミーティングで関係者が口々に語っていたキーワード、失敗を恐れない、上下関係がない、課題解決意識が高いという国民性がスタートアップマインドにつながっているというものであります。また、国内に既存産業が少なく、大企業がほとんど存在していなかったこともかえって好環境でありまして、世界的なユダヤ人ネットワークを中心に、投資家がスタートアップをイスラエルで育てようとするエンジェルと呼ばれる好意的投資も大きな要素となっているようです。さらには、スタートアップがビジネス化する段階で、国軍において実証試験や先行導入が果たされる軍需がバックボーンとして存在することも大きいようです。  これらの点で、日本の事情はむしろ正反対で、特に安定した産業に支えられる愛知県においては、なじみの薄い観念であろうと思い知らされました。しかし、日本国内だけでスタートアップを完結しようとするならば、すばらしいアイデアや技術があったとしても育まれる新たな企業はローカルで小規模なものにとどまってしまうのではと感じざるを得ませんでした。  そして、このような事実を知り得たことで、県内企業が課題と感じていることを自社だけで無理に解決しようとするのではなく、それを得意とする海外スタートアップとの連携によってお互いを補い合える関係、互恵関係を結ぶことが重要であると強く感じるところであります。  また、訪問各地において、イスラエル人の多くが親日的であって、日本への渡航を望んでいるということも知りました。それは、日本に商機を見いだしているということに加えて、やはり杉原千畝氏による命のビザで六千人ものユダヤ人が命を救われたこと、そして、歴史的事実はともかくとして、当時の日本国政府がそれを支援していたと信じていること、加えて、ホロコーストによる迫害から逃れたユダヤ人が敦賀港にたどり着いてからの日本国内での親切を忘れていないことなどがあるようです。命のビザにより救われたサバイバー御本人にもお会いすることができ、体験談などを通じてその思いをしっかりとお聞きすることができました。そのようなイスラエル人は、日本に渡航して杉原千畝氏の軌跡をたどるツアーをしたいと強く要望しているそうです。日本大使館に訪問した際に、同じ趣旨の説明を水嶋特命全権大使からも詳細に伺いました。  こうしたイスラエルにおける日本への渡航意欲の高まりを背景に、来年三月には、イスラエル航空による日本とイスラエルの直行便も就航するとのことであります。そして、杉原千畝氏とゆかりのある本県には、県立瑞陵高等学校敷地内にセンポ・スギハラ・メモリアルがあり、イスラエル国民にとっても魅力ある愛知であることは紛れもない事実であります。  このように、イスラエル国訪問により両国間で交流が活発化していく期待感が膨らむ中で、イスラエルスタートアップとの連携は、より一層有意義なものとなっていくであろうと確信しているところであります。  そこでお伺いします。  イスラエルとの連携において、具体的にどのような事業を実施し、今後どのように取り組んでいくのかお伺いします。  次に、我が国においては、岸田総理が年頭の記者会見で新しい資本主義の実現に向けて、本年をスタートアップ創出元年とすると打ち出し、また、十月に閣議決定された新たな経済対策である物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策においても、新しい資本主義の加速を柱の一つとして掲げ、その中で企業がスタートアップとオープンイノベーションを行うための環境整備を強化することを打ち出しています。  このように、イスラエルに限らず優れた技術を持つ世界のスタートアップは、グローバルに事業展開をしていることから、県内企業も国内だけでなく海外のスタートアップとの協業を視野に入れていく必要があることを今回のイスラエル国訪問においても強く感じたところであります。  二〇二四年十月のSTATION Aiの開業に向けて、本県は、アメリカ、中国、フランス、シンガポール、そして、イスラエルの五か国と連携し、スタートアップの育成や県内企業のオープンイノベーション創出支援を行っているところでありますが、海外スタートアップの誘致も非常に重要であります。  そこでお伺いします。  STATION Aiの開業に向けて、海外スタートアップの誘致に対し、どのように取り組まれているのか、また、今後どのように取り組んでいくのかお伺いします。  続いて、二つ目の質問として、暴風災害による瓦屋根の吹き飛び防止対策について質問します。  我が国において、瓦は日本の気候風土と調和した建材として長きにわたって使用され、美しい景観を形成してきました。飛鳥時代の仏教伝来とともに寺院の屋根材として伝えられたとされ、以降、寺社建築や城郭建築を中心に使われてきました。そして、江戸時代中期になると、桟瓦が発明され、それまでの重厚な瓦とは異なり、薄く軽量で製造コストも安くなったことから、庶民の家にも使用されるようになり、需要が拡大していったとされています。  本県で三河地域を中心に生産されている三州瓦もその頃から現在のような大生産地となっており、島根県石見地方の石州瓦、兵庫県の淡路瓦と並ぶ日本三大瓦の一つとして全国的に知られています。中でも、三州瓦の国内シェアは全国出荷枚数の約七〇%を占めており、日本でトップの生産量を誇る、本県にとっても重要な地場産業の一つであることは改めて申し上げるまでもありません。  さて、瓦には建材として多くの長所があります。耐火性や防水性、防音性に優れ、何より耐久性が高く、汚れにも強いため、長年にわたって美しい外観を保ち続けることができるものであります。瓦の耐用年数は五十年から百年にもなると言われますが、奈良の寺院に用いられている瓦の中には、飛鳥時代から使用されているものがあるそうです。このように、瓦は数々の優れた特質により長きにわたって使用されてまいりました。  しかし、残念ながら近年、台風が頻発化、激甚化しており、強風によって瓦が吹き飛ばされるといった被害が生じております。特に二〇一九年に発生した令和元年房総半島台風では、千葉県内を中心に強風による瓦の落下、飛散、ずれや破損などの被害が広域的に多数発生し、その後長期間、多くの家屋が補修できずにブルーシートで雨漏りをしのぐ状態を余儀なくされました。同時多発的に被害が発生したため、補修業者が対応し切れず、施工待ちの状態が長く続いたためとのことで、このような事態とならぬよう、瓦屋根の安全対策を見直す必要があるとの認識が広がりました。  このため、国は専門家による調査を行い、強風によって瓦屋根に被害が生じた原因について詳細な分析を行いました。それによると、瓦屋根の被害は、その当時の建築基準法では緊結対象、つまり、緊密に結束する対象となる部分、そのなっていない部分で特に多く発生していたことが判明しました。また、その一方で、瓦業界団体の定めたガイドライン工法により全ての瓦を緊結した瓦屋根は脱落による被害が少なかったことも明らかとなりました。この結果を受けて、国は二〇二〇年十二月に屋根瓦の固定方法に関する基準を改正し、それまでは屋根のへりなどに当たる部分の瓦だけを下地の瓦桟などにしっかりと留めつけておけばよいとされていたものが、改正により本年一月からは、屋根の全ての瓦を緊結することが義務づけられるようになりました。この基準改正により、新築される住宅などに関しては、屋根瓦の固定方法について安全性の確保が図られることになったものであります。  一方、既存の住宅などに関しては、今回のように基準が改正されても直ちに改修を行って新基準に適合させることまでは求めない、いわゆる既存不適格という扱いとなります。しかし、法律上の義務は生じないとはいえ、瓦屋根の強風に対する安全性を確保していくためには、古い基準による既存の瓦屋根についても新しい基準に適合させる必要があります。  そこで、国は、既存の瓦屋根が新しい基準に適合しているかどうかをかわらぶき技能士や瓦屋根工事技士、瓦屋根診断技士などの有資格者に診断させる耐風診断の実施と、適合しない屋根をふき替える耐風改修を進めることとし、耐風診断及び耐風改修に対する補助事業を実施する地方公共団体に対して一定の額を支援する制度を二〇二一年三月に創設しました。  本県におきましても、実際に台風や突風などによる瓦屋根への被害はしばしば生じております。先ほど述べました、令和元年房総半島台風のように安全対策がされていない瓦屋根の広域的な被害が今後本県においても発生する可能性は十分にあり、こうした事態を未然に防ぐためにも瓦屋根に関する基準の改正の周知と既存住宅の屋根の改修について啓発することが重要と考えているところであります。  そこでお尋ねをします。  強風に対する瓦屋根の安全性を高めるため、県はこれまでどのような取組を行い、また、今後どのように取り組んでいくのかお伺いします。  それでは、最後に、三つ目の質問として、大府市及び東浦町を管轄する警察署の新設について伺います。  私の地元大府市と隣接する東浦町は、北は名古屋市、南は知多半島、西は三河地域に接するその結節点であり、人と物の往来も活発であって、昭和の時代から順調に発展を遂げてまいりました。そして、全国的に人口減少局面に入った現在においても人口は増加傾向にあり、大府市が約九万三千人、東浦町が約五万人であります。とりわけ大府市については、特殊出生率が一・九三で県内で最も高く、今後もその傾向が続くと見られ、間もなく十万人を超えると予測されています。  そのような両市町の安心・安全を受け持つのは、大府市が東海警察署管轄、東浦町が半田警察署管轄であり、それぞれの管内の人口は東海署が約二十万七千人、半田署が約二十七万九千人に上ります。また、東海署から大府市役所までの距離が約八キロメートルで車で約二十分、半田署から東浦町役場までの距離が約十五キロメートルで約二十五分を要する状況にあり、その経路はいずれも県内有数の渋滞区間でありまして、混雑具合によっては緊急車両であっても到着にさらに時間を要することも懸念されます。  一方で、知多半島全体の警察署の位置関係に目を向けると、知多半島の西側には東海署、知多署、常滑署、そして、中部空港署と四警察署があるのに対し、東側は半田署が一つあるだけで、その上、半田署は半田市並びに東浦町をはじめとする知多半島内の五町の全てを管轄としており、知多地域の警察署の配置に不均衡さを感ずるところであります。  このような地域事情を受けて、大府市は市の最優先課題と位置づけて、隣接する東浦町と共に昭和六十三年より両市町を管轄する警察署の設置を求めて、知事、県警本部長、県議会へ毎年陳情を行うなどの誘致活動に取り組んできました。平成十四年には、大府市において、自治区長会、老人クラブ連合会、地域婦人団体連絡協議会、交通安全協会大府分会の四団体が警察署誘致実行委員会を結成して市民対象の署名運動を展開し、約四万七千人の署名を集め、市議会に対して請願書とともに提出しました。これを受け、市議会は、平成十五年及び十九年に大府市・東浦町に警察署誘致を求める意見書を可決し、さらには、平成二十七年に大府市・東浦町を管轄する警察署の新設を求める意見書を可決しました。こうして、実に三十四年もの間、歴代の市長、市議会、県議会議員、市民でつないできた陳情活動の象徴的な場面として、毎年行う知事・県警本部長・県議会陳情には、東浦町長をはじめ町関係者の方々にも御参加をいただき、本年二月には三十四回目の陳情訪問を行うことができました。  時代は移り変わり、社会では犯罪の特殊化や低年齢化に加え、凄惨な事故が後を絶たず、地域住民の生活環境に対する不安は募り、警察署の設置や警察官の増員を求める声が年を追うごとに高まっています。人と物の往来が活発な地域と言いましたが、それは通過交通の往来が活発であり、すなわち、犯罪の出入りもしやすい地域ということでもあり、住民の体感不安を助長するような生活環境因子が増幅しているとされます。そうした事情もあって、大府市で実施された令和二年度市民意識調査では、防犯対策に力を入れてほしいと答えた人の割合が七三・九%でありました。  このような中で、本年八月二十九日、大村知事は、記者会見で大府市及び東浦町を管轄する大府市内への警察署の新設に向けた検討を開始すると表明されました。まさに、突然の朗報に市内は大いに沸き立ち、翌八月三十日には、これに即応する形で、大府市は新警察署の候補地として市有地である市内月見町二丁目の土地を県に対して提案しました。この土地は国道百五十五号に面し、大府駅や市役所などの市中心部に程近くありながら広さも十分で、かつ東浦町境にも近接するため、大府市及び東浦町を管轄する警察署の建設には好適と考えての提案と市は説明しています。これを受けて県は、さきの九月議会に新警察署の候補地の調査を行うための補正予算案を上程し、全会一致をもって可決されました。  このようにして、大府市民にとって悲願である新警察署の誘致が現実のものになるという大きな期待感の中、住民の関心はその先に移りつつあります。それは、やはり早くできてほしいがいつできるのか、どのような建物になるのか、その後、周辺の交番はどうなるのかというものが多いようです。  そこでお尋ねをします。  新設警察署の現時点までの検討状況と、今後、供用開始がいつ頃になるのか伺います。また、警察署が新設された場合、周辺の交番や駐在所をどのようにしていく考えなのか現時点での方針を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 4: ◯経済産業局長矢野剛史君) 海外スタートアップとの連携のうち、まず、イスラエルとの連携についてお答えをいたします。  本年五月に知事がイスラエルを訪問し、国家イノベーション庁と研究開発及び技術的イノベーションにおける両者間協力に関する合意書、また、スタートアップ支援機関でありますスタートアップ・ネーション・セントラルとは、オープンイノベーション支援における連携協力に関する覚書をそれぞれ締結いたしました。これらの合意に基づき、今年度よりイスラエルのスタートアップと県内企業とのオープンイノベーションを促進するあいち─イスラエルマッチングプログラムを実施しております。  具体的には、県内企業三社に対しまして、イスラエルのビジネス環境や商習慣、税務、法務といった知識を習得するワークショップや各社の課題、イスラエルスタートアップに求める技術などを洗い出すメンタリングを行っております。来年一月には、この三社が実際にイスラエルを訪問いたしまして、イノベーション庁やスタートアップ・ネーション・セントラルの協力を得て選定をいたしましたスタートアップとの面談を行い、各社の課題解決につなげていくプログラムとなっております。  また、十一月には、駐日イスラエル大使館との共催で、イスラエルスタートアップとの協業をテーマにしましたセミナーを開催し、イノベーション庁とスタートアップ・ネーション・セントラルが推薦をしますイスラエルのスタートアップ五社による事業説明のほか、イスラエルに進出しております日系企業からイスラエルでのビジネスを成功させるためのコツなどを紹介していただきました。  県といたしましては、世界でも先進的なスタートアップ・エコシステムを形成しておりますイスラエルとの連携は大変重要であると考えておりまして、最先端のテクノロジーを有するイスラエルのスタートアップと県内企業とのオープンイノベーションを促進する取組を一層強化することにより本県へのイスラエルスタートアップの誘引につなげてまいりたいと考えております。  続きまして、海外スタートアップの誘致についてお答えをいたします。  本県は、二〇一八年に策定をいたしましたAichi─Startup戦略において、海外の優れたスタートアップを招聘し、県内モノづくり企業等とのマッチングを図り、オープンイノベーションを推進していくことを取組の柱の一つに位置づけております。こうした認識の下、具体的には、イスラエルをはじめまして、アメリカ、フランス、中国、シンガポールの五か国の大学や支援機関等と連携し、各連携機関の強みを生かしました事業を実施しております。  とりわけシンガポールは、知事が本年八月に渡航いたしまして、連携機関でありますシンガポール国立大学のスタートアップ支援機関、ブロック71が日本で初めてスタートアップ支援拠点となる、ブロック71ナゴヤをプレ・ステーションAiに開設することに向けました合意書に署名をいたしました。県といたしましては、このブロック71ナゴヤの開設を契機にシンガポールをはじめとする東南アジアのスタートアップとの交流、連携をさらに進めていきたいと考えております。  また、特に力を入れております事業といたしまして、二〇二一年度より世界トップレベルのVC(ベンチャーキャピタル)アクセラレーターでありますファイブハンドレッドグローバルと連携をいたしまして、日本市場への展開を目指す海外スタートアップの成長支援と県内企業とのオープンイノベーションを図ることを目的としましたプログラムを実施しております。今年度は、世界三十四の国と地域、七十三社の応募の中から十の国と地域のスタートアップ十七社を厳選いたしまして、来年一月から四週間程度、本県に招聘をいたしまして、県内企業との間で将来の協業に向けたマッチング等を実施することとしております。  今後とも、こうした取組を強力に推進していくことにより二〇二四年に開業いたしますSTATION Aiへの海外スタートアップの招致につなげてまいりたいと考えております。 5: ◯建築局長成田清康君) 強風に対する瓦屋根の安全性に関する取組についてお尋ねをいただきました。  建築基準法に基づく瓦屋根の基準の改正により、これから建てられる住宅などにおいては、強風に対する瓦屋根の安全性が確保されることとなりましたが、既存の住宅などでは十分な安全性を有していないものもあると考えられます。  そこで、本県では、これまでに基準改正の概要を県のウェブページに掲載して周知を図るとともに、県民の皆様に向けて既存の瓦屋根のチェックポイントなどを分かりやすく記載したリーフレットを配布して啓発を行ってまいりました。また、工事業者に向けて瓦の種類や瓦をふく部位に応じた緊結方法などの具体的な基準を示したリーフレットを配布し、安全対策への理解が深まるよう取り組んでまいりました。今後も、引き続き県民の皆様に対し、防災関連のイベント等の様々な機会を捉えて、瓦屋根の安全対策のさらなる周知啓発に努めていくほか、工事業者に加え、建築士などの専門家に対して安全対策に関する一層の取組が進められるよう関係団体と連携して働きかけてまいります。  また、市町村に対してリーフレットの窓口配布に加え、広報紙による周知啓発を呼びかけるなど市町村や関係団体との連携を図り、既存の住宅などの瓦屋根の安全対策を進めてまいります。 6: ◯警察本部長鎌田徹郎君) 初めに、新設警察署の現時点までの検討状況についてお答えいたします。  新設を検討しております警察署につきましては、八月二十九日に大村知事から大府市内への警察署の新設に向けた検討を開始する旨の発表がなされ、県警察におきましても警察署新設に向けた調査を開始することといたしました。また、大府市からも大府市月見町二丁目地内にある土地を候補地として提示を受けているところでございます。  現在、令和四年度九月補正予算においてお認めいただきました新設する警察署の検討調査費に係る契約を行い、候補地に関する敷地の現況及び周辺環境の現地調査、電気、ガス、給排水等の供給施設の現状や条件の整理、敷地や施設に関する関係法令を含む各種法的規制の整理等、警察署用地としての適正性の調査を進めております。あわせまして、大府市、東浦町との連携を密にし、住民の利便性、特殊な地理的事業及び大規模災害時の拠点確保の必要性といった課題を早期に解消するため、適切な場所であるか検討をしているところでございます。  供給開始時期につきましては、現時点、調査、検討の段階でありまして未定ではございますが、今後の調査・検討結果等を踏まえ、速やかに確定してまいりたいと考えております。  続きまして、警察署の新設に伴う大府市及び東浦町内の交番、駐在所の配置方針についてお答えいたします。  大府市内には、大府幹部交番をはじめ三交番一駐在所、東浦町内には、東浦交番をはじめ二交番二駐在所がございます。大府市内に新設を検討しております警察署につきましては、大府市から提示された大府市月見町二丁目地内の土地が警察署用地に適しているか調査中でありまして、現時点、警察署の設置場所は確定しておりません。したがいまして、今後、警察署を設置する場所が確定いたしましたら、警察署と交番、駐在所の位置や治安情勢等を十分考慮し、大府市及び東浦町全体の警察力の適正配置について検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。 7: ◯知事大村秀章君) 日高章県議の質問のうち、瓦屋根の安全性に関する取組について私からもお答えをいたします。  日高議員がお触れになりましたように、愛知県における瓦の生産、三州瓦は日本三大瓦の一つでありますが、中でも国内シェア七割以上ということで圧倒的な大産地でございます。そのことも含め、瀬戸、常滑をはじめとした窯業全体は愛知県にとって大変重要な地場産業でありますので、さきの九月議会には、燃料資源高に対する支援ということで補助制度もつくらせていただいたということでございます。引き続きしっかりと応援をしていきたいというふうに思っております。  さて、近年、台風や竜巻と見られる突風によって本県におきましても瓦屋根への被害が発生をしております。強風に対する瓦屋根の安全対策をあらかじめ行い、県民の皆様が長期間にわたり御不便な生活を送ることがないようにしておくことは大変重要であると考えております。こうした中で、今年度、国の制度を活用した瓦屋根の耐風診断、耐風改修の補助制度を創設した市もありまして、市町村におきましても強風に対する瓦屋根の安全対策について積極的な取組が始まっております。  このため、県といたしましても、市町村に対して耐風診断、耐風改修の補助制度の創設について県のほうからも呼びかけるとともに、市町村と連携した補助制度の創設などについて新年度、検討していきたいというふうに考えております。  県民の皆様の安全・安心な暮らしの確保に向けて引き続きしっかりと取り組んでまいります。 8: ◯七番(日高章君) それでは、最後に一点、警察署新設について要望させていただきます。  現在、建設候補地について調査が行われているところでありますが、その後、問題なければ基本設計へと移っていくことと思います。それに当たってはどのような建物としていくのがいいのか、その基本的な考え方、すなわち設計コンセプトが重要になるかと思います。この点についても、既に地元大府市では多くの声が寄せられていまして、それらをまとめますと、健康都市のまち大府を象徴するような建物にしてほしいというものが多いようです。市の中心部から建設候補地を眺めますと、その先には、あいち健康の森公園を見渡すことができ、その中にシンボリックにそびえ立つ、あいち健康プラザが印象深く目に映ります。この景観は今や地域住民にとってのアイデンティティーともいうべき存在であります。その日常の景色の中に新たに建設される市民の悲願である警察署であって、新たな地域のランドマークとなるものであります。そのような地域風土に親和し、かつ、これからの時代に必要な価値観、すなわち持続可能性をもほうふつとさせるような建物となることが望まれるのだと思います。まさに、大府市の現在のキャッチフレーズはサスティナブル健康都市であります。ぜひともそのような考え方を設計の基本コンセプトとしていただきますよう要望して、私の発言を終わります。 9: ◯議長須崎かん君) 進行いたします。  安井伸治議員。     〔二十一番安井伸治君登壇〕(拍手) 10: ◯二十一番(安井伸治君) 通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。  まず初めに、一一〇番映像通報システムについて質問をいたします。  昨年二月の本会議で、我が団の鈴木まさと議員が取り上げておりましたLive一一九は、一一九番映像通報システムですが、このシステムは映像により災害発生場所、出動場所を早期に特定したり、火災や交通事故などの災害状況を正確に把握したりすることができます。  一方、警察においても、全国の都道府県で本年十月から一一〇番の通報者から現場の動画像を受信できるシステムの運用を始めております。  報道によると、二〇二〇年十月から先行導入した兵庫県警では、二〇二一年の通報約四十三万件のうち百七十六件で通報者から映像や画像の送信を受けたと聞いております。その内訳は、行方不明者の捜索に関する画像提供などが百件以上、傷害、ひったくりなど刑法犯や交通事故などの交通関係がそれぞれ数十件の活用実績があったそうです。兵庫県警での活用事例としては、傷害事件で現場から逃走する自動車を撮影した目撃者の画像から車種や車体の色を特定し、早期検挙につなげたという狙いどおりのケースもありました。また、強風でマンションのフェンスが倒壊した事案では、交通規制の必要性や火災の有無をいち早く確認することができたそうです。  このシステムの最大の狙いは、通報者からより正確な情報を提供していただき、現場対応を迅速かつ的確に行うことです。しかし、複雑な多重事故や突発的な事件などに遭遇した場合、通報者は電話で詳細な状況を説明できない場合も少なくありません。また、見知らぬ土地での事件、事故との遭遇となると的確な場所の説明すら難しいケースもあります。このシステムは、携帯電話からの通報のみ活用ができるとお聞きをしており、スマートフォンを使用する利点として画像送信のほかにスマートフォンのGPS機能を用いて通報場所の位置情報を取得する機能もあるそうです。  愛知県警では、二〇二一年に受けた一一〇番は五十七万七千百七十七件であり、携帯電話からの通報が七二・三%を占めており、過去十年間で二番目に高かったとお聞きをしております。このように、スマートフォンからの通報が多くを占める現状においては、位置情報や動画や画像という客観的な情報により通信指令室の担当者が迅速に状況を把握できれば、適切な人員の派遣や資機材の準備といった初動体制に生かせるとお聞きをしております。  そこで質問です。  全国的に運用が開始された一一〇番映像通報システムの概要についてお伺いをいたします。  次、テレビのニュースによると、韓国・ソウルで起きたような観光客の密集による雑踏事故を防ぐための訓練として、紅葉シーズンを迎えた香嵐渓の待月橋に大勢の観光客が詰めかけたことを想定して、関係者が動画撮影をしながら警察に通報し、通信指令室では映像の情報を基に現場の警察官などに指示を出すという訓練を行ったようです。  一方、警察官が撮影した事件現場の映像をリアルタイムで通信指令室などと共有する仕組みを愛知県警が独自開発し、全国で初めて導入したともお聞きをいたしました。  このシステム、ポリス・トリプルアイ・PSW連携映像システムは、緊急時に警察官が右肩に装着した端末のカメラ機能が携帯無線を操作することで作動し、事件など現場の状況を撮影し、その映像をリアルタイムで通信指令室や管轄の警察署に自動送信します。現場でスマートフォンを取り出して操作する必要がなく、警察署では現場の状況をリアルタイムで確認できるため、より迅速な状況の把握や的確な現場の指揮などに役立てられます。このように、双方向での動画情報が迅速な検挙や状況の把握、また的確な現場の指揮などに役立てられ、県民の安全につながることを期待いたします。  そこで質問です。  十月一日から一一〇番映像通報システムは試行運用を開始したとお聞きいたしましたが、現在の活用状況や効果的な事例があったかお伺いをいたします。  この一一〇番映像通報システムは、兵庫県警の事例や愛知県警の訓練等を見ても、その有用性は容易に想像できますが、課題は認知度の低さであると考えます。兵庫県警の事例だと、通報者に操作方法がうまく伝わらず、動画像を送信できなかった例が複数あったようです。通報者はほぼ初めてシステムを使う人ばかりであり、システムを急に案内されても操作に手間取ることも考えられます。また、受信した動画像を状況に応じて捜査に活用し、刑事裁判で証拠として扱うことも視野に入れているようですので、送信された映像の取扱いとして著作権の問題、第三者が写り込んでいる場合など、SNSや画像配信に詳しい通報者ほど気にかかる点が多いと考えます。この有益なシステムを生かすには、日頃からの周知や社会の理解、システムの活用方法など様々な機会を通じて丁寧に説明することが必要だと考えます。  そこで質問です。  一一〇番映像通報システムでは、県民の理解と協力が不可欠であると考えますが、県民に対する周知状況についてお伺いをいたします。  次に、居場所のない子供たちについて質問をいたします。  居場所のない子供たちと聞くと思い出させるのが、東京では新宿歌舞伎町のトー横キッズですが、本県では名古屋市の栄の広場に集まっていた十代から二十代前半の子供たち、ドン横キッズがそれに当たります。通称ドン横が六月に閉鎖され、子供たちは昼間はゲームセンターへ、夕方から夜にかけてはオアシス21や池田公園に集まったりしているとお聞きをしております。その数は六月以降、減少傾向にありますが、ドン横キッズたちは家庭での虐待や学校でのいじめなどに悩む子供など明確な原因のある子供たちもいれば、大人からするとつかみどころがなく、ただ学校や大人や社会への不信感といったことからドン横に集まっていた子供たちも多くいます。六月以降の減少傾向は、家庭での虐待や学校でのいじめなどに悩む子供や、解決の糸口すら見えづらい不信感を抱えた子供たちが、今、ドン横の代わりの場所を探しているだけのような気がいたします。新たにたむろをできる場所が見つかれば、また多くの子供たちが集まり始めると考えます。集まること自体は何も問題ありませんが、そこには集団心理が働き、ドン横キッズたちは犯罪の加害者にも被害者にもなるおそれがあります。加害者となる事例としては、万引きやホテルの予約人数を超える不正宿泊、被害者となる事例としては、ドン横の王の事件のような愛知県青少年保護育成条例違反、いわゆる性被害やホストクラブに似たコンセプトカフェで少女たちが多額のお金を支払わされていた実態も明らかになっています。また、最近では、一種の覚醒状態を味わうことができる市販薬の過量摂取、いわゆるオーバードーズも問題になっています。  そこで質問です。  このような居場所のないドン横キッズへの対応としてどのように取り組んでいるのか、警察本部長にお伺いをいたします。  このような居場所のない子供たちには、一刻も早い支援が必要です。子供たちが抱える問題は多種多様であり、それが複雑に絡み合っている場合もありますが、私たち大人や社会がすべきことは、単純にどう子供たちに寄り添ってあげられるのかということだと思います。子供たちの興味のある話を聞いてあげたり、一緒に御飯を食べたり、テレビを見たりして子供たちが本音を言える存在になってあげる、そして、子供たちが今の自分に向き合う余裕や将来に向き合う力を蓄える、そういった関係をつくることができる大人の存在と、家庭でも学校でもない第三の居場所をつくることが心の安定につながると考えます。つまり、子供たちが緊張の糸を緩めることができる大人、そして空間を提供することが大切だと考えます。  そこで質問です。  このような子供たちの安心のためにどのようなサポートを行っているのかお伺いをいたします。  ドン横キッズと呼ばれる若者の中には、虐待などによりどうしても家庭に居場所を見つけることができない若者もいます。十八歳未満であれば児童相談センターによる保護者への指導や必要な場合の一時保護、さらに施設入所などの措置を行うことができますが、子供の年齢が十八歳となった途端、こうした措置を行うことができません。私は、幾ら成人といっても、まだまだ社会経験も少なく、周りの助けを必要としている十代の若者に対する支援に制度の隙間、年齢の壁があることが課題だと感じております。  こうした課題がある中、児童福祉法には、義務教育終了後から二十歳までの家庭のない子供や、家庭で暮らすことができない子供を受け入れ、子供たちが共同で生活をしながら経済的にも精神的にも自立できるようサポートをする自立援助ホームという施設が位置づけられています。ここでは、食事の提供のほか、就業に関する相談や生活支援などを行っており、多くの子供たちは将来の自立に向けて働きながら、あるいは学校とアルバイトを両立しながら、家事や金銭管理などを学びつつ生活をしています。児童養護施設等を退所した子供の自立を目的とした施設ではありますが、現在、自宅で家族と暮らしているが、虐待などによりどうしても家庭に居場所を見つけることができないため、自立への援助を必要としている子供であれば利用することができます。しかし、実際には、一般にはあまり知られていないと感じております。  私は、平成二十九年二月の議案質疑においても自立援助ホームについて質問をさせていただきましたが、このコロナ禍において家庭でも学校でも居場所が見つけられないため、息苦しさを味わっている子供たちが増えている今こそ、ドン横キッズという広く浸透した言葉とともに自立援助ホームという意義ある制度を知ってもらうよい機会だと思っております。
     そこで質問です。  家庭に居場所のない十代の若者が自ら自立援助ホームの利用を希望した場合に、県ではどのように対応されているのか、また、もっと広く制度を周知する必要があると考えますが、県としてどのように取り組まれるのかお伺いをいたします。  最後に、介護業界におけるキャリアハラスメント防止について質問をさせていただきます。  冒頭、キャリアハラスメントという言葉の説明を簡単にさせていただきます。このキャリアハラスメントという言葉は、私がつくった造語であり、言葉のとおりキャリア、経歴に関わる嫌がらせのことであります。私はこの質問をするに当たり、七十四名の高齢者介護事業所、障害福祉サービス事業所に勤める方にアンケートを実施し、回答をいただきました。結果、二名の方がこのキャリアハラスメントを受けたことがあるとの回答を得ました。では、幾つかキャリアハラスメントの事例を紹介させていただきます。  まずは、アンケートに答えていただいた二名の方の回答の内容を報告させていただきます。  まず初めは、障害福祉サービス事業所に勤めるAさん、二十九歳男性は、実務経験証明書を以前勤めていた事業所に交付請求をしたところ、交付を断られたそうです。その後、役所や現在勤めている事業所の方に相談をいたしましたが、解決には至らず、司法書士を通じて交付請求書類を送付した結果、実務経験証明書が交付されたそうです。交付に当たり事業所から事務手数料は請求されませんでしたが、司法書士へ支払った報酬は二万円だったそうです。  次のキャリアハラスメントの事例は、高齢者介護事業所に勤めるBさん、四十六歳女性は、介護支援専門員、通称ケアマネジャー──以下、ケアマネと呼びますが──ケアマネの資格取得のため、実務経験証明書を以前勤めていた介護老人保健施設に請求をしたところ、交付を断られたそうです。その後、現在勤める施設に相談をすると、愛知県社会福祉協議会──以下、社協と呼びますが──社協を紹介され、社協を通じて介護老人保健施設に交付請求をすると、事務局長は絶対交付しないと社協に回答。次に、その介護老人保健施設を運営する医療法人に社協から連絡をしたところ、またも交付しないとの回答。結局、Bさんは、給与明細で実務経験証明書の代用とし、給与明細を紛失している期間の不足分はたまたま現在勤めている事業所での実務経験証明書で補うことができ、ケアマネの受験資格を得たそうです。  この事例は、ネットに挙げられるほかのキャリアハラスメントの中でも最もひどいものの一つで、その主体が医療法人という公益的な立場を持った法人が行っており、なおかつ、愛知県社会福祉協議会という公的機関の指導も全く無視をしているという点です。  次のキャリアハラスメントの事例は、介護従事者で作る組合である日本介護クラフトユニオンに寄せられた事例です。その方もケアマネの資格取得のため実務経験証明書を当時勤めていた事業所に求めたところ、ケアマネに合格してしまうと介護現場の人手が足りなくなるからという理由で交付を断られたそうです。この介護クラフトユニオンに寄せられた事例は、資格取得によりキャリアアップがなされると仕事の内容が大きく変わる介護業界ならではの事例があると同時に、介護現場の慢性的な人手不足の結果起きた事例であると言えます。  ほかには、介護福祉士資格者が事業所を辞めることにより介護福祉士資格者を一定の割合で雇用していることにより事業所が受けられる加算であるサービス提供体制強化加算を受けられなくなることから職場を辞めさせてもらえなかったり、生活相談員が辞めてしまうと有資格者がおらず、後任の補充ができず、事業所が休止になってしまうなどの理由のため、職場を辞めさせてもらえない事例もあるそうです。その裏には、もし強引に事業所を辞めると実務経験証明書が交付されず、将来資格を取得したいと思ったときに大きな不利益を受けるのではないかという心理が働くともお聞きをいたしました。  また、事業所が介護人材を募集する場合、以前働いていた職場での実務経験を給与や処遇改善費に反映することをうたい募集をかける事業所もあります。その場合も、実務経験証明書がないと新しい職場で給与面での優遇が受けられなくなるという不利益も考えられると介護クラフトユニオンの方がおっしゃっておりました。  介護業界において給与を高めるには様々な資格を取るということが大きな要因になります。介護の資格による給与の序列は高い方からおおよそケアマネ、社会福祉士、介護福祉士、介護職員初任者研修という順になります。議会でも度々介護従事者の低賃金の話が出てきますが、キャリアアップは賃金を上げるための一番の方法と言えます。そのためには試験に合格することはもちろんですが、それ以前に実務経験証明書がなければ受験資格も与えられません。例えば、介護職の中でより専門的な仕事を行う介護福祉士においては、福祉系高校や介護福祉士養成学校を卒業していない場合は、介護現場で実務経験を三年以上経ていることが資格要件となり、ケアマネにおいては五年以上かつ九百日以上の実務経験が必要となります。  勤務に関する証明書の交付義務については、労働基準法第二十二条(退職時等の証明)が該当します。そこには、次のように書かれております。  一、労働者が退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)について、証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。  以下、省略をいたしますが、つまり、事業所の運営者は、職員または元職員から証明書の請求をされた場合は遅滞なく交付する義務があり、拒否することはできません。しかし、現実には、さきのアンケート結果等のように交付拒否がまかり通っているのが事実であります。また、実務経験証明書の交付請求をしようにも事業所が倒産、廃業により交付請求すらできない事例もあるようです。  そこで質問です。  介護事業所が実務経験証明書を交付拒否したり、また、倒産、廃業により交付請求すらできないなど介護職員のキャリアアップが阻害されることを防ぐため、県としてどのようにして取り組んでいくのかお伺いをいたします。  以上で壇上からの質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 11: ◯警察本部長鎌田徹郎君) 初めに、一一〇番映像通報システムについてお答えいたします。  一一〇番映像通報システムは、警察庁の主導によりまして国費で全国一律に整備され、本年十月一日から試行運用を開始しているものでありまして、通信指令室が一一〇番通報を受理した際、スピーカー機能で会話を継続しながら、通報された方に現場等の映像や画像を送信していただくものでございます。また、議員お示しのとおり、映像や画像を送信していただく際、通報される方の位置情報を送信していただくこともできるものでございます。こうした本システムの導入によりまして現場の状況把握が容易となり、通信指令室による的確な指揮指令や現場警察官の迅速な対応に効果が期待されているところでございます。なお、通報される方が事件事故や災害等に巻き込まれることがないよう、通報される方の安全が確保されている場合に限り、可能な範囲での御協力をお願いしているところでございます。  続きまして、一一〇番映像通報システムの活用状況ということでお答えをいたします。  運用開始から二か月あまりが経過しておりますが、十一月末現在で四十三件の映像や画像を通報者の方から送信していただいております。その内訳といたしましては、交通事故に関するものが五件、犯罪の予防、検挙に資する情報に関するものが十五件、行方不明者手配等保護に関するものが二十三件となっております。この中で効果的であった事例といたしましては、夕刻の帰宅ラッシュ時に幹線道路で発生した車両横転事故につき、本システムを通じて送信を受けた映像によりまして、事故の全体像や当事者に負傷がない様子が早期に把握できたことから、対応させる警察官の人数や装備品に関する指令を迅速に行うとともに、車線規制による渋滞情報を早期に発信するに至ったというものがございます。  続きまして、一一〇番映像通報システムの県民への周知状況についてお答えいたします。  議員御指摘のとおり、本システムは県民の御理解と御協力が不可欠であることから、システム運用の当初から県警ホームページにおきまして本システムの概要を紹介しておりますほか、動画配信サイトの県警公式チャンネルでは、利用方法を分かりやすく説明する動画を配信するなど周知に努めているところでございます。  また、報道各社から本システムに関する取材を受け、複数のニュース番組等で放映に至り、多くの方に御視聴いただいたものと考えております。  なお、毎年一月十日を一一〇番の日として、県警組織を挙げまして一一〇番通報の適正利用に関する広報活動を実施しているところでありますが、来年の一一〇番の日におきましては、本システムの周知を活動重点に設定して県民に広く周知を図ることとしておるところでございます。  次は、いわゆるドン横キッズに対する取組ということでお答えをいたします。  県警察におきましては、飲酒、喫煙などの不良行為を行う少年の補導活動や犯罪行為に及んだ少年の検挙、福祉を害する被害を受けた少年の保護活動等を行っておりまして、このうち、家庭や学校、交友関係等の環境改善が必要と認めた少年に対しては、立ち直り支援や少年の状況に応じた関係機関への引継ぎなどの対応をしているところでございます。  議員お示しの、いわゆるドン横キッズにつきましては、少年たちが夜間を中心に栄広場周辺に集まり、中には犯罪を犯したり、悪意ある大人から性被害等を受ける者も出るなど社会問題化したものでございます。県警察といたしましては、まずは実態を把握するために、少年たちが多く集まる週末の夜間を中心に街頭補導活動を行ったところ、家庭や学校に居場所がないと感じ、境遇の似た子の集まる栄広場周辺に居場所を求めてSNS等を介して集ってくる少年たちの実態が明らかになりましたことから、夏休み期間中、名古屋市と連携し、こうした少年たち向けに相談所を開設したほか、SNS上で栄広場周辺への集合を呼びかける投稿に対しましては、むやみに集うことで引き起こされる危険性を周知するための注意喚起文を返信するなどの取組、これを行ってきたところでございます。また、集まった少年らによります予約人数を上回るホテルへの不正宿泊や市販薬の過剰摂取、いわゆるオーバードーズ等が見られたことから、宿泊施設やドラッグストアの管理者に注意喚起を行うなど、少年たちの非行や被害の温床となり得る環境対策を実施するとともに、少年が被害者となる児童買春等の福祉犯罪の取締りも強化しているところでございます。  なお、現在、栄広場が閉鎖されまして、少年たちの集合場所は複数の場所に分散した状況が見受けられますことから、県警察といたしましては、あらゆる警察活動を通じ、実態把握に努めているほか、警察だけでは解決できない問題につきましては、関係機関と連携し、有害環境の排除をはじめ、少年の立ち直りに向けた支援活動などを積極的に推進しているものでございます。  以上でございます。 12: ◯県民文化局長伊藤正樹君) 居場所のない子供たちについてのお尋ねのうち、子供たちの安心のための本県の取組についてお答えをいたします。  社会生活を営む上での様々な困難を抱え、安心できる場所がない子供、若者が困難な状態から脱するためには、悩みや不安を受け止めて相談に当たり、福祉、教育、保健、医療等の関係機関と連携して必要な支援をしていくことが大切です。  本県としましては、様々な相談に対するワンストップ窓口として、子供、若者に身近な地域である市町村におきまして、子ども・若者育成支援推進法に基づく子ども・若者総合相談センターの設置促進を図っているところでございます。この相談センターは、現在、県内十八市町において設置され、子供、若者からの相談内容に応じた支援機関、民間団体の紹介や情報の提供、助言を行っていただいております。  県は市町村に対し、子供・若者支援の担当者による連絡会議や研修会の開催により相談センターの必要性や支援内容の理解促進を図っておりますが、研修会においては、民間団体と連携し、ほっと安心できる居場所を提供している先進的な取組も紹介し、参考にしていただいているところでございます。  今後も困難を抱える子供、若者が安心できる居場所を見つけることができるよう、子ども・若者総合相談センターの設置とその機能の向上を促進することにより子供たちを支援してまいりたいと考えております。 13: ◯福祉局長橋本礼子君) 自立援助ホームについてお答えいたします。  自立援助ホームでは、虐待や非行などにより親子関係が悪化し、家庭で暮らすことができない十代の若者が家事や金銭管理の支援、就労に関する相談援助などを受けながら集団で生活しており、県内には、社会福祉法人やNPO法人等が運営する施設が八か所ございます。家庭に居場所のない十代の若者たちが自ら自立援助ホームの利用を希望した場合、まずは、児童相談センターに御相談をいただくことになります。センター職員が本人や御家族と面接して、現在置かれている家庭環境や就労状況、本人の将来に対する希望などを調査、確認した上で支援が必要と判断した場合、入所手続を行うこととなります。こうした自立援助ホームの制度や相談先などの情報が支援を求めている子供たちや若者にきちんと届くことが必要でありますので、今後は、児童養護施設等入所者だけでなく、家庭で暮らす若者にも届くように県のホームページなどによる情報発信を充実するなど広く周知を図ってまいります。  次に、介護事業所で働く方のキャリア形成についてお答えいたします。  高齢化の急速な進展に伴い介護ニーズが高まる中、介護従事者が自らの経験や習得した技能、知識によりキャリアアップしていくことは、介護人材の安定的な確保、定着のために大変重要であります。  議員お示しのとおり、介護の資格の中には、取得に当たり実務経験証明書の提出が必要となるものがあり、やむを得ず提出ができない場合には、例えば、介護支援専門員の試験におきましては、雇用通知書や給与明細等を組み合わせて実務経験の確認を行っているところであります。勤務に関する証明書の交付につきましては、労働基準法におきまして、労働者が退職の場合において請求したときは遅滞なく交付しなければならないとされており、これに違反した場合には罰金の規定も設けられております。また、介護報酬におきましても、労働関係法令の違反により罰金以上の刑を受けた場合、一年にわたり一部の加算が算定できなくなり、その影響額は県内の平均的な規模の介護老人保健施設で試算いたしますと約二千万円になるものと見込まれております。介護事業所がこうした証明書の交付義務やその影響を認識しないまま実務経験証明書の交付を拒むことは、介護に従事する方のキャリア形成に影響を及ぼすとともに、事業所の運営にも支障を生じさせる可能性がございます。そのため、県といたしましても、実務経験証明書の適切な交付に関する法令等の規定や影響について、介護事業所として職員のキャリアアップに積極的に取り組む必要性も含めまして事業者講習会や運営指導等様々な機会を捉えまして、介護事業所に積極的に周知してまいりたいと考えております。 14: ◯議長須崎かん君) 進行いたします。  新海正春議員。     〔四十五番新海正春君登壇〕(拍手) 15: ◯四十五番(新海正春君) 通告に従い、河川の安全についてと建設業の労働環境改善についてを順次お尋ねいたします。  まずは、河川の安全についてですが、私の地元である岡崎市、幸田町は、平成十二年東海豪雨と平成二十年八月末豪雨で甚大な浸水被害が発生し、国、県、市町の御尽力により床上浸水対策特別緊急事業に採択され、広田川、伊賀川、占部川、砂川、鹿乗川の五河川の改修を進めていただきました。そして、平成二十八年二月には、大村知事をはじめ多くの関係者の御臨席をいただいて、岡崎市において完成式典が開催されました。ただし、それぞれの河川において、床上浸水対策特別緊急事業の範囲の上流部分には対策の必要な箇所も残り、継続的な対策をお願いしてまいりました。  昔から河川は下流から改修し、できるだけ早く海まで排水することが原則であるとお聞きしております。これらの河川のうち、岡崎市内の広田川には、占部川と砂川が下流から順に流れ込んでおり、その広田川は、矢作古川に流れ込み、矢作古川が海に流れ込んでいますので、広田川をはじめ、占部川や砂川にとって矢作古川の流下能力の向上が非常に重要であると思います。  矢作古川については、矢作川から流れ込む分派量を抑制するための国土交通省直轄工事として、平成十二年東海豪雨で流れた毎秒六百トン流量を三分の一の二百トンに抑制するための分派施設の構築が平成二十八年に完成しており、矢作古川の拡幅と同様の大きな効果を発揮していると思いますし、併せて、傾斜が少なく流れの緩い広田川の流れ込みやすさ向上による洪水対策にも効果を発揮していると思います。  そして、広田川についても、先ほど床上浸水対策特別緊急事業により両岸の用地買収を含めた河道の拡幅工事が砂川合流点まで完了し、その工事区間に当たる占部川合流点下流では毎秒百三十トンの流下能力が約二倍の二百五十トンまで向上したため、二十年八月末豪雨で赤川合流点付近で破堤した菱池地域の大被害発生や、占部川、砂川地域の大浸水で被災した住民に安心感を与えています。  また、占部川は、五年間から一年延ばした六年間で床上事業が行われ、広田川合流点からJR東海道線までの全線の五キロメートルで改修と占部川下流遊水地の整備が完了いたしました。  そして、以前、一般質問でも要望しましたが、市議の時代から長年にわたって要望していた砂川の未改修部分や、多くの人から本当にやれるのかと言われた菱池遊水地築造についても、大規模特定河川事業に採択していただき、工事を推進していただいています。  広田川については、二〇一〇年に公表された矢作川下流圏域河川整備計画に基づき、相見川合流点までの区間において、年超過確率十年一の規模の降雨による洪水を安全に流下させることを目標に菱池までの拡幅を継続していただいています。  二十年八月末豪雨以降、矢作古川への分派施設に始まり、各河川の対策を実施していただきましたので、当時と比べ、現在は格段に治水安全度が向上していると機会あるごとに住民に話してまいりました。しかし、本年、九月二十三日夕方には、岡崎、幸田に線状降水帯が継続して発生し、短時間の激しい豪雨によって各所で道路の冠水が発生しましたし、また、十四年ぶりに幸田駅西側駐車場付近の広田川が越水している様子や、駐車場が冠水している映像が繰り返し実況放送され、驚きを感じました。また、広田川と相見川との合流付近で広田川の堤防が破堤したことを聞き、なぜなのかと思い、翌日、早速二か所を見に行きました。  幸田駅西側付近で越水した堤防付近には、町の職員や浸水を心配した近所の方が来てみえましたのでお話をお聞きし、料金所の機械や車が浸水したことや、堤防は昨年十一月頃に上部をアスファルトとセメントで修繕したため崩れなかったことが分かりました。また、越水箇所付近の河川状況や橋梁も見て回り、この付近の川幅は、占部川や砂川が合流しているところの広田川と比べ、同じ川と思えないほど狭く、拡幅が必要なことを感じましたし、幸田石井線に架かる現在の広田橋の隣に町道に格下げされ、現在は幸田町が管理している昭和三十七年三月改築の旧の広田橋が残っており、今回の豪雨による増水で橋の欄干下部にたくさんの草が引っかかっていましたので、スムーズな流れを阻害する要因の一つとなっているように感じ、将来何らかの対策が必要であると感じました。  次に、破堤した箇所ですが、既に応急処置がされ、ブルーシートで覆われていました。ここは広田川と相見川との合流地点付近であり、合流直前の相見川には、尾浜川、田多美川が合流していますし、広田川には、岩堀排水機場、前田川及び少し上流には二十年八月末で破堤した地点の直上流で赤川が合流しています。また、少し下流には、菱池開墾排水機場も広田川に排水しています。さらにその下流に、未改築の新田橋、維新橋の二橋があり、川幅が狭いネック点となっています。  このように、破堤箇所は多くの河川が合流している地域であり、広田川の水量が一気に増水し、常に危険をはらんだ地区であるように感じ、改めて隣接地で進められている令和八年完成目標の菱池遊水地築造の有効性を実感いたしました。  本年十一月五日に、岡崎市で開催された第三十回全国川サミットin岡崎のパネルディスカッションでも、国土交通省の方が広田川の破堤のことを話題にされていましたので、今後の国の対応に大いに期待をしましたし、先日、衆参両院を通過した令和四年度一般会計補正予算の中で、災害を事前に防ぐための総額十五兆円の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の今年度分一兆二千五百二億円及び災害復旧費五千百四十四億円が公表されましたので、有効活用を大いに期待しています。  今までに様々な対策を実施し、広田川の流下能力が格段に改善されたことを考えますと、今回の越水や破堤の発生を不思議に思っていたところ、先日の十一月四日のNHK東海ドまんなか!という番組で異常気象を取り上げており、その中で、三重大学の気象・気候ダイナミクス研究室の立花教授が、原因として太平洋を日本列島に沿って流れる黒潮の東海沖での大蛇行があり、愛知県には線状降水帯の発生が今後何年も続くと説明してみえました。  近年、全国各地で豪雨による浸水被害が発生していますが、本県においても今まで経験したことがないような豪雨がいつ、どこで発生してもおかしくありません。こうした状況に対応するためにも、岡崎市や幸田町からの洪水が流入する広田川の砂川合流地点から相見川合流地点までの河道拡幅と、その区間のネックとなっている未改築の新田橋、維新橋の架け替え及び菱池遊水地の早期の整備が不可欠であります。  そこでお伺いします。  広田川及び菱池遊水地の整備の進捗状況と今後の見通しについてお尋ねいたします。  続きまして、建設業の労働環境改善についてお聞きします。  建設業は、屋外での現場作業が多いため、昔に比べると機械化が進んでいるものの、天候が悪く雨が降ったり、風が強かったりすると見合わせないといけない工程作業もあり、計画どおりのスケジュールを遵守することが難しいことも出てくると思います。その結果、工期を守って工事を完成するために急な休日出勤などでの対応も想定されますので、働き方改革が強力に推進されている中で、建設業の労働環境改善に向けた週休二日の普及についてお尋ねをいたします。  建設業は、地域住民に必要な上下水道や道路、学校や病院などといった生活に不可欠な基盤となる設備である社会資本整備を着実に進捗させるための大変重要な担い手でありますし、地域社会の安全・安心の確保を担う地域の守り手でもあります。また、多くの労働者の就職先としても地域を支える重要な基幹産業であります。  また、平時の建設業務だけでなく、岡崎市では、日頃から岡崎土木災害安全協力会や岡崎建築災害安全協力会を組織していただき、それぞれが岡崎市と災害時における応急対策の協力に関する協定書を締結し、地震その他の自然現象により市管理道路設備等や市管理公共建築物等が被災した場合における応急復旧やその他応急処置に協力するために備え、自治体では即応が難しい緊急を要する建設資機材等の調達及び輸送に積極的に取り組んでいただいております。  先日の広田川の破堤箇所の迅速な復旧のように、一たび災害が発生すれば昼夜を問わず大変な現場で活躍していただいていますし、これから冬に向かって道路や橋梁の凍結防止のための凍結防止剤を散布し、交通安全に協力いただいているのも建設業の方たちです。私も、大雨などの際には、自分自身の安全を確保しつつ、現地、現物として実際に何がどのように起きているのか、自分の目で確認し、対策等を要望していますが、現場に行くとほとんど人影のないところで、担当されている道路や川の安全を図るために黙々と活動している建設業の方々とお会いし、感謝と敬意を感じています。  コロナウイルス流行前に複数の経営者にお話をお聞きした際には、希望どおりの従業員確保が大変難しいことや、工業高校で専門知識を身につけた卒業生が専門以外のところに就職してしまうことについて大変残念に思うとの話がありました。そして、ある会社では、外国人の現場監督の養成を真剣に検討している方もみえました。ただし、新規に採用できたとしても即戦力とはなりにくく、人材育成に年数が必要であるため、定期的な採用が重要であると言われました。そして、少子・高齢化が進み、社会全体で労働人口が減少している中、経営者自らが建設業は労働環境が厳しい3K職場と自嘲ぎみに言われましたので、建設業ではその状況はさらに深刻であると感じました。  現在、就業者の高齢化も進み、国土交通省の資料によれば、六十歳以上の年齢層が全体の約二六%に当たる約八十四万人に上り、十年後には大量離職が見込まれます。一方、それを補うべき二十九歳以下の若手入職者は全体の約一二%に当たる約三十八万人であり、現在でも労働力の確保が困難な状況に加え、将来はもっと危惧しなければならない状況となってくると思われます。  こうした中で、将来の担い手となる若い人や女性技術者などの人材確保や、育成に向けた働き方改革への取組が重要な課題となっております。若い人や女性技術者が魅力のある産業として建設業を就職先に選んでもらうには、建設現場における労働環境の改善が必要であります。  先日、実際の話をお聞きするために、岡崎工科高校を訪問し、意見交換をさせていただきました。令和三年から土木科は都市工学科という名前に変わっていますが、土木科というのを使って進めさせていただきます。来年三月の卒業生に対して多くの求人があり、土木科では、既に九〇%以上の生徒が内定を得ており、ほとんどが建設関係であることや、コロナウイルス感染拡大の中でも求人数は確保されているが、大手以外の中小が増加したこと、また、学校としては多くの人材を社会に送り出したいと思っているので入学者を確保したいが、残念ながら都市工学科の今年の入学者は五年間で初めて定員割れであったこと、また、設備をしっかりと整備していただいたので、工科高校の魅力をもっと知ってもらい、入学者を増やしていきたいと話されました。そして、入学してくる生徒には、早い段階から自分の進路を考えるような取組をしており、二年生の夏休みには、平均五日ほどのインターンシップを三分の一以上の生徒に経験させていることや、三年生の六月頃には、建設業や市役所などの社会で働いている先輩に来てもらい、講話の中で社会人としての心構えや働き方などを話してもらい、建設業の週休二日の実施状況も説明していることや、土木では年一回現場見学を実施するし、県や商工会議所の支援をいただいた社会人講師にも実際の作業を通して物や形として残るものをしっかりと作り上げ、これは自分が作ったものだと言えることによるやりがいを実感させていただいていることも話されました。  今の若い人たちは、給料もさることながらプライベートの時間を重視しており、建設業に就職してもらうためには、労働環境改善の中でも週休二日は最も重要な取組の一つであると考えております。二〇二〇年の国土交通省の資料によれば、土木、建築を合わせた建設業全体における休日の状況は、他産業では当たり前になっている週休二日の取得割合が二割に満たないなど厳しい就業実態となっています。  こうした中、愛知県では、二〇一六年から土日休みの完全週休二日制工事に取り組まれ、それ以来、六年が経過する中で、工事成績や総合評価落札方式において週休二日の実施状況に応じて加点評価するなどインセンティブを設けて普及促進に努められ、徐々に普及しているのではないかと感じております。その現れではないかと思いますが、先日も複数の経営者にお話をお聞きし、最近、工科高校の生徒たちが自動車をはじめとする製造業だけではなく、建設業を就職先の選択肢に加えているし、就職担当教師も薦めてくれていると聞き及び、以前とのさま変わりを感じました。そして、これは、コロナウイルス流行による労働環境の変化の影響ではなく、働き方改革として建設業においても週休二日が浸透し、就職先に適していると考えてもらえているのではないかとおっしゃってみえました。  二〇二四年度からは、改正労働基準法の施行により建設業にも罰則つきの時間外労働の上限規制が適用される予定であり、建設業全体における労働環境改善は喫緊の課題であります。  そこでお伺いします。  建設業の労働環境改善のため、週休二日のさらなる普及は早急に取り組むべき課題であると考えておりますが、県の取組状況についてお伺いいたします。  以上で壇上での質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) 16: ◯建設局長道浦真君) 河川の安全についてであります。  広田川の整備につきましては、二〇一〇年三月に公表した一級河川矢作川水系矢作川下流圏域河川整備計画に中島橋上流から約七・六キロメートルの区間で河道拡幅、橋梁改築及び菱池遊水地の整備などを位置づけております。これまでに中島橋から新田橋付近まで約三・四キロメートルの河道拡幅とその間にある四橋の橋梁改築が完了しております。現在は、その上流の菱池遊水地計画地点まで約二キロメートルの区間の整備を進めており、菱池遊水地の整備の歩調と合わせて、現況の河川用地内での河道拡幅と新田橋及び維新橋の二橋の架け替えを計画的に進めております。  新田橋につきましては、下流側に新しい橋を架け、一般県道須美福岡線バイパスの整備を進めており、開通後、速やかに旧橋の撤去に着手してまいります。維新橋につきましては、約十メートル上流に架け替えることとし、来年度、下部工に着手してまいります。  また、菱池遊水地につきましては、二〇一九年度に国の補助事業である大規模特定河川事業に採択され、二〇二〇年度に用地取得が完了したことから、本格的に工事着手しております。現在は、計画地内にある道路や水路の付け替えと関連する排水機場の移設などを進めるとともに、遊水地の外周約二キロメートルにおいて、これまでに約五百メートルの地盤改良と約五十メートルの堤防築造が完了しております。  今後も、国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策などを活用し、広田川の治水安全度の向上に取り組んでまいります。  次に、建設業の労働環境改善に向けた週休二日の普及についてであります。  週休二日の促進には、施工時期の平準化や現場の効率化を図ることが重要であり、本県では、適正工期を確保した計画的な発注とともに、ICT建設機械の利用拡大などDXの推進により休める環境づくりを促進しております。  そうした中、週休二日の普及に向けては、二〇一六年度に土日を休みとする完全週休二日制工事として経費の補正を加え、発注者が指定する方式で十八件の土木工事について実施いたしました。さらに、二〇一七年度からは、受注者の希望により実施できる方式も加えるなど、取組の拡大を図り、二〇二〇年度の実績では百十八件と、年間工事発注件数約二千百件のうち約六%が週休二日制工事となりました。  土木工事は、天候や現場条件が施工工程に大きく影響します。このため、昨年度は、休日を土日に限定しない四週八休も選択可能にするとともに、発注者指定型を大幅に増加させ、週休二日制工事は三百十二件、工事発注件数の約一四%と着実に増加しております。  こうした状況を踏まえ、来年度からは週休二日を一層強力に促進するため、土木工事については、原則、発注者指定型の週休二日とする方向で検討を進めております。  また、業界全体の機運醸成を図るため、本年七月から国、県、政令市などで構成する中部ブロック発注者協議会において、毎月第二土曜日を一斉休工とするまんなかホリデーにも取り組んでおります。  今後ともこうした取組を通じ、建設業の労働環境改善にしっかりと取り組んでまいります。 17: ◯四十五番(新海正春君) 御丁寧な回答をいただき、ありがとうございました。それでは、要望をさせていただきます。  まず、河川の安全ですが、広田川の改修と菱池遊水地の築造を精力的に実施していただいていることは理解いたしました。私も工事現場にしばしば足を運び、進捗を確認しています。その中で、新しい新田橋自体は既に完成していますし、維新橋は本年十一月から架け替えに向け年度内を工期にして取付道路の工事に着手しています。矢作古川から広田川にかけて実施してきた流下能力の向上対策を生かすためにも、ネックとなっている現在の新田橋、維新橋の早期撤去をお願いいたします。  また、今回の豪雨で破堤したところも、二十年八月末豪雨で破堤したところも河川の合流地点になっています。一般的には、河川の合流によってその地点の水量が増加し、危険が増すことは理解できますが、広田川に合流する支川の合流角度や本川の形状はそれぞれ異なっていますので、理想的な姿があるのであればそれに近づけて危険が低減できるのかどうか検討をお願いいたします。特に専門的な知識や経験を有する大学や研究所などの有識者の助言をいただくことができる制度が何かあるような気がしますけれども、有効に使っていただけたらと思っています。  また、合流点付近には、やはり土砂の堆積がしやすいと思いますので、常に状況把握をしていただいて、しゅんせつや樹木の伐採によって有効断面の確保をお願いいたします。  最後に、先ほども述べましたが、二次補正の中に今年度起きた災害に対応するための災害復旧費もありますので、国に対して予算確保の働きかけをよろしくお願いいたします。  次に、働き方改革ですが、県発注の繰越工事などを増やして仕事量の平準化を図ったり、工期の柔軟な対応をすることにより建設業の週休二日がやりやすくなり、浸透することによって人材確保によい影響が出ていることは評価いたします。学校も生徒が習得した知識や技能を仕事として生かせるように様々な取組をしていただいております。県としても、今後とも週休二日の完全実施などの働き方改革につながる様々な施策を実施していただくとともに、県だけではなく、市町村全体で推進するように働きかけをしていただくことをお願いし、一般質問を終了いたします。ありがとうございました。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 18: ◯四十番(南部文宏君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 19: ◯議長須崎かん君) 南部文宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 20: ◯議長須崎かん君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
        午前十一時四十二分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後一時開議 21: ◯副議長佐藤一志君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  岡明彦議員。     〔三十二番岡明彦君登壇〕(拍手) 22: ◯三十二番(岡明彦君) 通告に従い、誰一人取り残さない地域づくりについてをテーマに、愛知県の取組について大きく三つ質問します。  まず、夜間中学の在り方についてです。  十一月二十八日、県教育委員会から定時制・通信制教育アップデートプラン案が発表されました。定時制・通信制高校は、働きながら学ぶことを前提とする勤労青年のための学びの場だけではなく、不登校や中途退学の経験者、外国にルーツを持つ生徒など多様な学習ニーズを持つ生徒の学びの場に変わっています。それに対応した教育の在り方をアップデートプラン案として取りまとめたと承知しています。ここでは、その中に盛り込まれた夜間中学についてお聞きします。  さて、夜間中学は、義務教育を修了しないまま学齢期を経過した方や、不登校など様々な事情により十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した人、本国や日本で義務教育を修了していない外国籍の方などを対象として義務教育の機会を提供することを目的として設置されるものです。現在、教育現場では不登校児童生徒や外国人児童生徒が増加傾向にあり、こうした児童生徒への対応が喫緊の課題となっています。国が夜間中学の設置を推進する背景にこうした事情があることは御案内のとおりです。  さて、公明党愛知県議員団は八月、札幌市に本年開校された夜間中学、札幌市立星友館中学校を視察しました。夜空に輝く色とりどりの星のように個性豊かな友が遠方から館に集い、励まし合って学ぶことを目標に星友館と名づけられました。この夜間中学には札幌市民や周辺十二市町村の住民が入学でき、現在は十代から八十代の九十人が在籍しており、義務教育の機会を提供する学びの場となっていました。改めて夜間中学の必要性を痛感しました。  公明党はかねてより誰も取り残さない教育立国を政策に掲げて、二〇一六年、全都道府県に夜間中学設置を求める教育機会確保法の成立に尽力するなど、夜間中学の早期開設を訴え続けてきました。また、本年の参院選重点施策においては、夜間中学やフリースクールなど、学びの場を確保することを改めて訴えました。  本県では長年、公益財団法人愛知県教育・スポーツ振興財団が名古屋市内で中学夜間学級を運営しており、義務教育未修了者や外国人等の学習機会の確保に一定の役割を果たしてきましたが、本来の夜間中学とは似て非なるもので、県全域をカバーするには十分とは言えない状況が続いています。  こうした中、知事が十一月二十八日に定例会見で発表したように、県教委が不登校特例校や県立夜間中学の設置、小規模の昼間定時制や通信制のサテライト校を県内にバランスよく配置する方向にかじを切ったのは評価をしたいと存じます。あいちビジョン二〇三〇では、SDGsの理念や方向性を踏まえ、誰一人取り残さない社会を目指すとしています。女性、高齢者、若者、障害のある人、外国人県民など、全ての人が活躍できる社会をつくっていくためにも、夜間中学等の設置は意義深いものになると思います。  そこで、ここからは外国人県民にフォーカスをして夜間中学の必要性を考えていきます。  令和二年に文部科学省が行った実態調査によると、全国の夜間中学で学ぶ生徒は千七百二十九人で、そのうち日本国籍の生徒が約二割、外国籍の生徒が約八割を占めており、外国籍生徒のニーズが高くなっています。知事が発表した県立夜間中学を設置する豊橋市には、現在約一万九千人の外国人が住んでおり、地域のNPOなどが希望者を募り日本語教室を開いています。ですから、夜間中学の設置により、周辺地域の日本語指導の機能が強化されることは大きな意味があると考えます。  そこでお尋ねします。  夜間中学における日本語指導をどのように実施する予定か伺います。  また、豊橋市以外にも外国人は県内に広く住んでおり、自治体別に見ると、二〇二一年十二月末現在、一番多いのが名古屋市の八万五百五十五人、次いで豊橋市が一万八千九百二十九人、以下、豊田市が一万七千九百四十一人、岡崎市が一万二千二百八十二人、西尾市が一万二百二十人と続きます。名古屋市の十一月議会で、我が党の小林祥子市会議員の質問に対して、名古屋市は夜間中学の設置に向けて取組を進めていくことを明らかにしました。答弁では不登校対策に力点が置かれていましたが、当然、外国籍の生徒への対応も強化していくことになると思います。先ほど紹介したとおり、そのほかの地域にも多くの外国人が住んでおり、豊橋市同様夜間中学に対するニーズは大きいと推量できます。  そこでお尋ねします。  日本語の基礎を学ぶための夜間中学の設置について、名古屋市や豊橋市以外の地域ではどのように進めていくのか伺います。  県教委は現在、若者・外国人未来塾において、外国人を対象とした日本語学習支援を行っています。また、夜間定時制においても、外国人の生徒に対して日本語指導を実施する学校があるとお聞きしています。  そこでお尋ねします。  日本語の学習が必要な外国人生徒にとっては、夜間中学、夜間定時制、若者・外国人未来塾と学ぶ場があるわけですが、それぞれの位置づけ、役割はどのようにしていくつもりかお伺いします。  次に、アジアパラ競技大会を契機とした本県のユニバーサルデザイン等の推進について質問します。  二〇二六年のアジアパラ競技大会は、パラスポーツの祭典であると同時にパラリンピックムーブメント、すなわち障害のある人々の意識、障害のある人の移動の自由、障害のある人への機会の均等を推進することが求められます。今後四年で様々な取組が必要となりますが、パラリンピックムーブメントを高めるだけではなく、レガシーとして誰一人取り残さないことを愛知の財産としていく絶好の機会にできると思います。  このうち、障害のある人の移動の自由の観点では、パラアスリートを迎え、海外からも多くのお客様をお迎えしようとする本県にとっては、官民挙げてのユニバーサルデザイン化、バリアフリー化の推進が喫緊の課題となります。アジア競技大会やアジアパラ競技大会は社会的な変化を目指すイベント、スポーツだけではなく、レジャーについても誰でも楽しめる環境にすることが必要です。すなわち、本県を訪れる外国人旅行者、障害のある方や小さな子供連れの家族、高齢者等の全ての観光客に対して、誰もが安心してストレスなく旅行を楽しむことができるよう、バリアフリー化の推進等の受入れ環境の充実が最重要となります。  東京パラリンピックを前に、東京都では二〇一八年十月に合理的配慮を条例で義務化、多様なお客さんをお迎えするに当たり、誰もが快適な観光を楽しめる都市を目指して、次のような事業により、ハード、ソフトの両面でバリアフリー化を進めました。紹介します。  ハード面では、競技施設建設に当たってのバリアフリー化、人に優しく快適な街づくり基金を活用した道路のバリアフリー、宿泊施設のバリアフリー化支援のための補助金等が行われました。ソフト面では、二〇一六年からバリアフリー化に向けた相談員の派遣、二〇一七年からユニバーサルツーリズムを推進するためのセミナー、シンポジウムの定期的開催、二〇一九年から宿泊施設バリアフリー化促進事業、アドバイザー派遣、セミナー開催などが行われてきました。無論、東京オリパラとは規模も異なるため、このとおりに進めることは難しいと思います。とはいえ、多岐にわたるユニバーサルデザインの取組を残り四年、短期集中的に推し進めることが必要なのは確かです。そのためにも強力な司令塔が必要と考えます。  そこでお尋ねします。  アジアパラ競技大会で多くのパラアスリート、国内外の観光客をお迎えするに当たり、スポーツ局は、県内市町村等と連携を取って、競技会場のバリアフリー化をはじめとしたユニバーサルデザインの推進についてどのように取り組んでいくのか、御所見を伺います。  競技会場以外の観光の側面、いわゆるユニバーサルツーリズムについては、私が二〇一六年の本会議、一般質問で取り上げました。愛知県観光振興基本条例第十一条第二項に、県は、前項の施策──つまり観光の基盤となる交通施設及び宿泊施設、案内施設、魅力ある観光地の形成に資する施設の整備並びに観光情報の提供等に関する機能の充実に関して必要な施策──を講ずるに当たっては、高齢者、障害者、その他特に配慮を要する観光旅行者が円滑に利用できるように努めるとされ、取組が進められてきたと承知をしています。その後の法改正では、例えば昨年五月に成立した改正障害者差別解消法により、ホテルなどの民間事業者による合理的配慮の提供が今後二年以内に努力義務から義務化に移行されます。また、公共交通の面では二〇二五年度までのバリアフリー法に基づく基本方針における目標として、鉄道のホームドアは全国で三千番線、うち十万人以上が利用する駅では八百番線を整備、タクシーの総車両数の約二五%についてユニバーサルデザインタクシーとする目標が新設されました。ハード、ソフトの両面でさらに高いレベルのバリアフリーの実現を、県当局は観光、交通の両面においても講じる必要があると考えます。  本年から団塊の世代が後期高齢者となります。旅をすると、家族も驚くほど生き生きとされます。旅はリハビリ、行ける場所ではなく行きたい場所に行ってほしいと願うのは私だけではないと思います。さらに、昨年から医療的ケア児の学校現場の受入れもあり、高齢者だけではなく修学旅行でもバリアフリーが必要となります。これらのことを考えれば、全国の観光地に対する優位性を確保することは、観光立県を目指す本県にとって重要なこととなります。  ここで、本県の周辺県の状況を確認します。二〇一三年に日本一のバリアフリー観光県推進宣言をした三重県は、バリアフリー観光ガイドみえバリを二〇一五年三月に発行しました。静岡県浜松市は、全国の市町村で初めてユニバーサルデザイン専門部署を設置した都市です。岐阜県高山市も観光バリアフリーの先進都市として名をはせています。長野県では一昨年度、信州大学と共催で障害者と高齢者が観光しやすい人材を育てる県ユニバーサルツーリズム実務人材養成講座を開講しました。講座は二つに分かれ、一つは、障害のある子供がアウトドアスポーツなどの活動ができるよう支援するインクルーシブ野外活動指導員を養成するもの、もう一つは、ユニバーサルツアーの企画や観光会社への助言などをするユニバーサルフィールド・コンシェルジュを養成するものとして注目されています。先進的な取組をしてきた四つの県、地域に挟まれた本県が、バリアフリー観光の視点から観光地の魅力の磨き上げや情報発信等に取り組まなければ、障害者や高齢者等の旅行者からの愛知飛ばしに遭う可能性も十分に考えられます。障害者や高齢者等の旅行者に目を背ける愛知県になってはいけないと思います。  さらに、広域観光圏づくりとして取組が進む昇龍道プロジェクトの今後を考えてみても、本県が外国人観光客にとっての玄関口となり基点であり続けるためには、バリアフリー観光、ユニバーサルツーリズムを避けて通ることはできません。  アジア競技大会、アジアパラ競技大会を共同開催する名古屋市も、ユニバーサルツーリズムの進展に一歩踏み込みました。名古屋市の九月議会で公明党のさわだ晃一議員が質問、名古屋市は宿泊施設へのバリアフリー化に関する助成制度の創設に向けて検討を進めると答弁しました。  そこでお尋ねします。  東京パラリンピックの開催などを受けた社会経済環境の変化を踏まえ、アジアパラ競技大会、アジア競技大会の開催に向け、ユニバーサルツーリズムの推進にどのように取り組んでいくのか、観光コンベンション局の御所見を伺います。  最後に、文化芸術における様々な分野や主体との連携による社会・地域課題への対応について質問をします。  十一月十五日、行財政改革・地方創生調査特別委員会で愛知県陶磁美術館と愛知県立芸術大学を視察、新たな時代の流れに沿って、両施設とも改革に大きな一歩を踏み出した感を抱きました。  陶磁美術館では、西館にあった狛犬コレクションを本館玄関ロビーに移設、インスタレーション展示を行うことにより、陶芸の新たな魅力発信の可能性を示していました。また、校外学習の受入れ強化のため、今年度から学校団体向けの特別プログラムに小中学校の愛知の産業や図工・美術の授業に対応したテーマを取り入れたとのこと。当日も小学生の団体に遭遇しました。  県芸大では、メディア映像のスペシャリストを育成するためのメディア映像スタジオ棟などの施設や、撮影や音声編集などを行うための最新機材などを見学、メディア映像表現による新たな芸術の可能性を感じました。また、大学と地域との連携による地方創生の取組についても説明を受けました。  さて、一九四六年に設立された国際的な非政府機関であるICOM(国際博物館会議)の第二十六回大会が本年八月、プラハで開かれました。最大の焦点はミュージアムの定義の改正で、新たな定義が以下の概要で示されたのです。  博物館は、有形及び無形の遺産を研究、収集、保存、解説、展示する、社会に奉仕する非営利の常設施設である。博物館は、一般に公開され、アクセスしやすく、インクルーシブであり、多様性と持続可能性を育む施設である。博物館は、倫理的、専門的に、そして地域社会の参加を得て運営されるものであり、コミュニケーションを図り、教育、楽しみ、考察、知識の共有のために様々な体験を提供する施設である。この新定義は、博物館の新たな役割のうち、インクルーシブ、コミュニティーへの参加、持続可能性の重要性を強く認識させるものです。  一方、我が国では本年四月、改正博物館法が可決、成立しました。博物館に求められる役割が多様化、高度化する中、この改正により、博物館の登録要件や事業、法律の目的等が見直され、新たな時代の博物館として求められる規定も整備されました。また、令和四年度予算で新設された博物館機能強化推進事業により、博物館の先進的な取組が支援されています。  改正に至る論議では、現代社会における博物館の存在意義や博物館の基本的使命のほか、五つのテーマがクローズアップされました。分かりやすいものですので、紹介をします。一つ、まもり、うけつぐ、資料の保護と文化の保存、継承。二つ、わかちあう、文化の共有。三つ、はぐくむ、未来世代への引継ぎ。四つ、むきあう、社会や地域の課題への対応。五つ、いとなむ、持続可能な経営。誰一人取り残さない本県の取組をテーマにした本質問では、その四に当たる社会や地域の課題への対応にフォーカスしたいと存じます。  まず、私が視察、調査をした社会や地域の課題への対応に関する先進事例を紹介します。  それは、東京都美術館と東京藝術大学が中心となり、東京上野公園にある博物館、動物園、図書館、音楽ホールの九つの館で行われているプログラム、ミュージアム・スタートあいうえのです。このプログラムが目指すものは、全ての子供にミュージアム体験を、子供たちがミュージアムで文化財をはじめとした貴重な展示物に出会うことによって、新しい人や物や出来事に触れ、日常では得られない多様な世界に出会い、これからの社会をつくる力を獲得していくことを目標にしています。  さて、あいうえのでは、社会や地域の課題への対応において、大きく三つのプログラムを展開していました。一つ、ミュージアムシンキング・フォー・ファミリー・アンド・ティーンズ、これは、上野公園の九つのミュージアム等を舞台に、子供たちが科学、歴史、芸術などの領域を横断しながら学び、それぞれの思考と感性を高めること。また、子供と大人が共に活動することで世代間を越えて対話する力を育むことを目指すもので、現代の課題に対して自分自身が答えを導き出すために、主体的、探究的に学ぶアクティブラーニングのプログラムでした。  二つです。アクティブラーニング・フォー・スクールズ、これは、学習指導要領に基づきながら、児童生徒の初めてのミュージアム体験をアクティブラーニング型の活動を通して行うものです。両プログラムとも学校教育の現場で取組が本格化しているアクティブラーニングが、とびラーと呼ばれるスキルを持ったボランティア、いわゆるプロボノ的な民間人と共に先駆的に行われており、目をみはるものがありました。  そして特筆すべきが三つ目のプログラムであるダイバーシティ・プログラムです。これは、様々な社会的状況にある子供や多様な文化を持つ子供たちにミュージアムを楽しんでもらうもので、上野エリアに近接し、かつ子供たちを支援する各種団体と連携しつつ、文化や言語の違いを越えて子供や大人が出会い対話するプログラムでした。  美術館、博物館、東京藝大と連携する団体は、児童養護施設、経済的困難を抱えた子供を支援するNPO、外国にルーツを持つ子供をサポートするNPOなど、多種多様です。上野公園を舞台に地域資源や人的資源が連携をして、社会的課題の解決に向かっていました。二〇一六年からスタートしたこのダイバーシティ・プログラムは進化中で、子供や親子といった対象領域を越えて、認知症の方をミュージアムに招き、認知症の方の集いの場とする新しいプログラムが開始されていることも言い添えておきたいと思います。  ミュージアムに関する新定義や博物館法改正に至る問題意識に真っ向から向き合うようなミュージアム・スタートあいうえのの取組は、博物館、美術館の新たな可能性を示すもので、二日にわたる視察の間、驚きを禁じ得ませんでした。そして、この取組の端緒となったのが、東京都美術館と東京藝大の協働チームであったことは、私にとって大きな希望となりました。なぜなら、本県には陶磁美術館をはじめ、我が国屈指の美術館が複数あり、また全国に五つしかない国公立の芸術大学の一つである愛知県立芸術大学があるからです。東京都と同じスキームを持ち得る愛知県は、紹介した新たなミュージアムの定義、一般に公開されアクセスしやすく、インクルーシブであり、多様性と持続可能性を育む、倫理的、専門的、そして地域社会の参加を得て運営されるものであり、コミュニケーションを図り、教育、楽しみ、考察、知識の共有のために様々な体験を提供するをモデル化できるポテンシャルを持っている県だと考えます。  そこでお尋ねします。  県は、社会や地域の課題に対して、文化芸術施策を通じてどのように対応していくのか伺います。陶磁美術館や県芸大では、社会や地域の課題に対し、子供への取組も含め、今後どのように進めていくのかお伺いをします。  以上で、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 23: ◯教育長(飯田靖君) 夜間中学に関するお尋ねのうち、初めに、夜間中学における日本語指導についてお答えをいたします。  二〇二五年四月の開校を目指して豊橋工科高校に設置をする県立の夜間中学では、入学前の日本語の習得状況や学習状況に応じて段階的に学習ができる仕組みを取り入れてまいります。  日本語で意思の疎通を図ることがまだ難しい生徒の場合、まず、日本語の基礎を習得するところから始め、小学校段階の内容も含めた基礎的な学習と、さらなる日本語の学習を行います。その後、念入りな復習と個別指導を経て、本来の中学校の学習に進めるようにしてまいります。そして、高校卒業程度の学力と日本語の読み書きを身につけることを目指して学習支援を行っている若者・外国人未来塾の日本語の指導員に学校へ直接来てもらい、授業だけではなく、授業の前にも日本語のサポート教室を開いて習得レベルに応じた読み書き指導を丁寧に行ってまいります。  次に、名古屋市や豊橋市以外の地域における夜間中学の設置についてお答えをいたします。  日本語の基礎が学べる夜間中学につきましては、外国人が多く居住をする地域におけるニーズが高いと考えられますので、今後、西三河地区、尾張地区にも設置を検討してまいります。  最後に、日本語の学習が必要な外国人生徒にとっての夜間中学、夜間定時制、若者・外国人未来塾それぞれの位置づけ、役割についてお答えをいたします。  夜間中学では、日常会話や基礎的な読み書きに始まり、中学校レベルまでの日本語と学力が身につけられるようにいたします。夜間定時制高校では、中学レベルの学びに続けて、高校レベルの日本語の読み書きと学力を身につけ、安心をして社会に出て行けるようにいたします。また、若者・外国人未来塾では、学校には通わずに高卒程度の資格取得を目指す外国人の子供に対して支援を行うとともに、夜間中学で授業前に行う日本語サポート教室に指導員を派遣いたします。  このように、夜間中学、夜間定時制、若者・外国人未来塾がそれぞれの役割を持って連携を図りながら、外国人の子供たちがそれぞれの状況に応じて選択をし、必要とする能力が身につけられるような体制を整えてまいります。 24: ◯スポーツ局長(成瀬一浩君) アジアパラ競技大会を契機としたユニバーサルデザインの推進についてお答えいたします。  アジアパラ競技大会の開催に向けて、パラアスリートはもちろんのこと、障害のある方や高齢者、家族連れなど、誰もが円滑に移動し、快適に観戦していただけるよう、ユニバーサルデザインに対応した環境整備が必要だと考えております。  競技会場での対応として新たに整備する愛知県新体育館では、誰もが入退場しやすい動線の整備や車椅子使用者の観戦客スペースの拡張、多機能トイレの充実などの取組を進めております。  また、既存施設である市町村所有の競技会場に対しては、アジア競技大会市町村施設改修事業費補助金制度を創設し、初年度となる今年度は、刈谷市や西尾市に対して段差の解消などのバリアフリー整備を支援しております。  さらに、ハード面での対応を補完する取組として、ソフト面での対応も必要であると考えております。そこで、スマートフォン対応等も視野に入れた競技会場周辺のバリアフリーマップの作成や、ボランティアによる観客のサポート対応などを検討してまいります。  アジアパラ競技大会の開催に向け、県内市町村等と連携し、競技会場のバリアフリーをはじめとしたユニバーサルデザインの推進にしっかり取り組んでまいります。 25: ◯観光コンベンション局長(武田光弘君) 私からは、アジアパラ競技大会、アジア競技大会の開催に向けたユニバーサルツーリズムの推進についてお答えします。  アジアパラ競技大会などでは、国内外からの選手、関係者などが県内各地の観光スポットを訪れることが期待されるため、あらゆる来訪者が円滑に安心して旅行を楽しむことができるユニバーサルツーリズムの推進が重要であります。  ユニバーサルツーリズムの推進については、あいち観光戦略二〇二一─二〇二三に位置づけ、これまでにハード面では、市町村などが実施する観光施設のバリアフリー化や案内看板の多言語化に対し支援を行ってまいりました。ソフト面では、県の公式観光サイトにおける観光施設のバリアフリー情報の発信、多言語コールセンターによる電話通訳や翻訳サービスの提供、さらにはムスリムへの対応方法について学ぶセミナーなども実施してまいりました。  今後は二〇二六年のアジアパラ競技大会などの開催を見据え、本県のユニバーサルツーリズムの推進につながる受入れ環境の整備を進めていくことが必要であります。現在、県ではこうした受入れ環境の整備状況やニーズ、施策等について把握するため、有識者へのヒアリングや市町村などへのアンケートのほか、先進事例について調査を実施しているところであります。こうした調査結果を踏まえ、アジアパラ競技大会などの開催に向け強化すべき必要な取組について検討を進め、ユニバーサルツーリズムの推進につなげてまいります。 26: ◯県民文化局長伊藤正樹君) 社会や地域の課題に対する文化芸術施策を通じた対応についてお答えをいたします。  本県は、愛知県文化芸術振興条例に基づき、文化芸術施策に関する基本計画を定めており、現在、来年四月から五年間を計画期間とする文化芸術振興計画二〇二七を策定中でございます。次期計画におきましては、誰もが等しく文化芸術を創造し、享受することは生まれながらの権利であり、心豊かな活力ある持続可能な社会の形成にとって極めて重要であるとの考えの下、全ての県民が等しく文化芸術に関わることができる環境の整備を進めることとしております。  このための施策として、子供が経済状況などに左右されることなく文化芸術体験等に親しむ機会を確保するため、学校や児童福祉施設等と連携して鑑賞会や招待事業などを実施してまいります。また、文化芸術に触れる機会の少ない高齢者、障害者に生きがいを感じていただき、社会参加へのきっかけとなるよう、社会福祉施設や障害者団体と連携して、バリアフリーの鑑賞会やワークショップ等の文化芸術活動の場を提供してまいります。さらに、関連のNPO等を通じ、多言語での文化施設やイベント情報の提供等を推し進めるなど、県民の誰もが文化芸術に関わることができるような施策を通して、社会や地域の課題解決につなげてまいりたいと考えております。  次に、陶磁美術館と県立芸術大学における社会課題等への取組についてお答えをいたします。  陶磁美術館では、子供たちの能動的な学びの意欲に応えることや様々な価値観に触れ多様性を育むことを目的として、学芸員が県内の小学校に出向き、陶磁資料等の実物教材を用いた体験型の授業を実施しております。また、県立瀬戸つばき特別支援学校とは文化芸術を通して社会参加への関心、意欲を促し、達成感を得ていただくことを目的の一つとして、開校以来展覧会の鑑賞支援や高等部の卒業作品の制作支援等を行っております。  次に、県立芸術大学では、学生が病院や社会福祉施設を訪問してコンサート等を行うアウトリーチプロジェクトを実施しています。この取組により、病院に入院されている方や社会福祉施設に入所されている方など、コンサートホールや美術館に足を運ぶことが困難な方々に対し芸術に触れる機会を提供し、大変好評をいただいております。  今後は、議員からお示しのありました例も参考にしながら陶磁美術館と県立芸術大学の協働を進めることにより、それぞれが持つリソースを生かすことで、社会や地域の課題解決に向けて取り組んでまいります。 27: ◯知事大村秀章君) 岡明彦議員の質問のうち、夜間中学の設置について、私からもお答えをいたします。  教育長の答弁にもありましたように、外国にルーツを持つ人たちは、名古屋市、豊橋市のほか、西三河地区や尾張地区にも多く居住されております。特に、西三河地区では豊田市や岡崎市、尾張地区では小牧市、春日井市、一宮市などが多くなっております。これらの市には夜間定時制高校がありますので、今後の夜間中学の設置に向けましては、こうした外国にルーツを持つ人たちが多く居住する、例えば豊田市であれば豊田西高校などの夜間定時制がある高校を候補として検討を進めていきたいと考えております。検討に当たっては、日本語学習支援を行っている若者・外国人未来塾と連携しやすい立地にあることや、夜間定時制に在籍する生徒と学校施設の状況、地域の意向などを踏まえて総合的に検討してまいります。  また、西三河地区に設置することとしております外国人生徒を対象とした中高一貫校につきましては、今年度中に設置校を絞り込みたいと考えておりますが、こうした全日制の学校と夜間中学との兼ね合いや役割分担などにつきましてもしっかりと考えながら、外国にルーツを持つ生徒が個性と能力を思う存分伸ばせる学びの場を充実してまいります。 28: ◯三十二番(岡明彦君) 知事はじめ、御答弁ありがとうございました。  三点要望したいと思います。  まずは、夜間中学等についてです。外国人生徒にとって、夜間中学はじめ様々な学びに関する選択肢があることはよいことですけれども、生徒が自身のニーズに合った日本語学習の場を見つけることは容易ではないと思います。国際交流協会のハンドブックには各相談窓口が掲載されていますが、日本語を学びたいと考えたときに県教委にも相談できる窓口があることが望ましいと思いますので、御検討いただきたいと思います。  また、日本語の学習ができる場がたくさんあるということは、日本語教師の必要人数も多くなるということになります。県には、日本語教師の養成と確保にも力を入れていただくよう要望したく思います。  アジアパラ競技大会、アジア競技大会の開催に向けたユニバーサルツーリズム等の推進については、今後取組を検討していく旨、多々御答弁をいただきました。現行のあいち観光戦略については二〇二三年に終期を迎えるものと承知をしています。  そこで、明年、県においては次の観光戦略を検討していくことになると思いますが、ユニバーサルツーリズムについても次期戦略にしっかりと位置づけ、アジアパラ競技大会等の開催に向けて推進していただくよう要望したいと思います。  ただ、ハード面の充実においては、経済状況によって振れ幅が大きくなることも推量できます。その一方、ソフト面の充実は、少ない予算でも工夫いかんで大きな進捗を図ることが可能だと思いますので、計画的に、かつしっかりとした取組を望みたいと思います。  最後にもう一点、今回の質問は、博物館という意味では陶磁美術館にフォーカスをしましたが、県美術館の今後の取組も重要だと思います。博物館、美術館に対して時代が要請する役割を踏まえた上で、県美術館の意欲的な取組にも期待したいと思います。その上で、博物館や美術館などの文化施設の評価については入館者数によって主に行われているというふうに承知をしていますが、単に入館者数の増減だけで評価するのではなく、アウトリーチ活動等による社会的課題に対する取組などの観点からも評価をしていただきたいと思います。本県の評価基準を変えていかなければ、国際社会が求める博物館や美術館の在り方を体現できないと思います。今後、文化施設の評価について見直しを検討することを要望し、発言を終わります。ありがとうございました。 29: ◯副議長佐藤一志君) 進行いたします。  河合洋介議員。     〔三十六番河合洋介君登壇〕(拍手) 30: ◯三十六番(河合洋介君) 通告に従い、順次質問をしていきます。  初めに、女性の活躍促進についてお伺いします。  知事も今定例会開会日の提案理由説明の中でも触れられておりましたが、女性の活躍促進には、今、本県は非常に力を入れられていると存じます。  まず、本年七月に本県が実施しました県政世論調査について少し触れます。県が年に二回やっているあの世論調査であります。その県政世論調査の中で、夫は外で働き妻は家庭を守るべきという考え方についてどう思うかという設問がありました。この夫は外で働き妻は家庭を守るべきという考え方に賛成か反対かを尋ねるという設問があり、この設問自体もどうかと思うんですけれども、反対と答えた方の割合が五五・九%ありました。多いか少ないかはちょっとあれですけれども。賛成と答えられた方は二五%でありました。五年前に同様の調査を行っておりまして、その際は反対と答えた人は四六・二%と半分を下回っており、この五年間で、反対と回答した人の割外が約一割増えたという結果になっております。本県は製造業を中心とする豊かな産業県でありまして、比較的安定した生活環境であることから、古くからこうした考え方に賛成の方が多い地域であると言われてきましたけれども、今回の結果を見ますと、男女共同参画という考え方に対する意識にはポジティブな変化が生じてきているということがうかがえると思います。
     本県では、女性が元気に働き続けられる愛知の実現に向け、二〇一三年に副知事をリーダーとするあいち女性の活躍促進プロジェクトチームを設置し、全庁を挙げて女性の活躍に向けた機運の醸成、ワーク・ライフ・バランスの推進、保育サービスの充実など、様々な施策を実施されております。特に、企業の意識改革に向けては積極的に取り組んできたことであり、二〇一四年度からは企業トップのメッセージを表明する女性の活躍促進宣言の募集を開始し、二〇一五年度からは積極的な取組を行っている企業をあいち女性輝きカンパニーとして認証する制度を創設しました。また、二〇一八年度からはそのあいち女性輝きカンパニーのうち、広く中小企業等に女性の活躍促進の働きかけを行っていただける企業等をあいち女性の活躍プロモーションリーダーに委嘱するなどして、継続的に事業を展開しております。  こうした宣言や輝きカンパニー、プロモーションリーダーなどでの取組は、女性の活躍推進に積極的に取り組んでいる企業にとっては企業のイメージアップにつながるということはもとより、女性が活躍できる土壌がある企業ということで採用面でも優秀な人材確保に効果があり、ロゴマークを名刺や会社案内に入れたり、自社のホームページに掲載をしたり、PRに活用しているともお聞きをしております。また、あいち女性輝きカンパニーに認証されると、県発注の公共事業に関して、公契約に係る入札の中での評価が上がるということもありますし、協賛をされている金融機関においての融資の優遇金利が受けられる、また、愛知県中小企業融資制度──これはパワーアップ資金ですけれども──その融資の対象になるといった目に見えるメリットもあります。ウィルあいちの利用料優遇なんかもあるようであります。  こうした様々な取組の成果が徐々に現れてきていると感じる一方で、特に中小企業においては、厳しい経営環境であることなどを理由に女性が活躍するために必要な環境整備ができていないケースもまだ多いのではないかと感じています。愛知県男女共同参画推進条例に基づいて二〇二一年三月に策定されたあいち男女共同参画プラン二〇二五においては、三つの重点目標の冒頭、イの一番に、あらゆる分野における女性の活躍の促進を柱立てし、四十二の進捗管理指標を掲げておりますけれども、この女性の活躍はこれからの本県の発展、成長を支えていく重要な鍵であり、さらなる取組を進めていく必要があると考えます。  そこでお聞きします。  あいち女性の活躍促進プロジェクトチームを設置して以来、これまでの取組について成果はどのようであったのか教えてください。また、その成果を踏まえ、さらに女性の活躍を進めていくために今後どのような取組を実施していくのか、お聞かせをいただきたいと思います。  続きまして、特定不妊治療の取組についてお伺いします。  不妊治療とは、妊娠、出産を希望しているにもかかわらず、一定期間妊娠の兆候がないカップルに対して行われる治療のことで、近年社会的認知は広がっております。  国立社会保障・人口問題研究所が五年ごとに行う出生動向基本調査のうち、二〇二〇年に行われました直近の調査によりますと、不妊を心配したことがある御夫婦は三九・二%であります。約四〇%もあります。実際に検査や治療を受けたことがある、または現在受けているとお答えになった御夫婦は二二・七%という結果も出ております。初婚年齢が男女とも上がっていることや社会情勢など様々な要因もあり、妊娠、出産を望むも、子は授かりものとよく言われておりますとおり、望んでもなかなか恵まれない、不妊に悩むカップルは少なくはありません。  治療費が高額になりがちな不妊治療は、経済的にも重い負担になっている場合が多いと思います。不妊治療による経済的負担の軽減を図るため、従来は医療保険が適用外であって高額な治療費がかかっていた体外受精や顕微授精を対象とし、二〇〇四年度から特定不妊治療費助成事業が始まりました。この助成事業は、事業創設当初は所得制限を設けつつ、治療費の一部を年度一回十万円、通算二年間という内容で助成がスタートしました。その後、助成額の増額や回数の増加など、不妊治療を希望する多くの方々の要望に沿うために制度が拡充を続けてまいりました。また、二〇二一年一月からは所得制限も撤廃、法律上の夫婦に加え、事実婚状態にあるカップルも対象となっております。そして、皆さん御案内のとおり、本年四月からは従来の特定不妊治療費助成事業に代わり、体外受精や顕微授精の治療の一部に医療保険が適用されるようになりました。患者さんは治療費の三割負担で受診ができるようになりました。これまで高額な治療費に二の足を踏んでいた方々が不妊治療を受けやすくなったという喜びの声も多く聞いております。  こうした画期的な制度移行に関して歓迎するお声が大きい一方で、懸念もございます。生殖補助医療は日進月歩、まだまだ進化を続けております。医療保険適用というのは、ある治療法、あるいはある薬、例えばある医療機器を使う、ある培養方法を使うという適用範囲を決めて、その中で行う医療に対して保険を適用するという、言わば仕組みであります。  不妊治療と一言で言いましても、本当に十人十色、多種多様な治療方法があり、まさにオーダーメードであります。妊娠を望む方々はより確率の高い方法を切実に望んでいるのは、当たり前の感情であります。そこに携わる医療関係者も、より有効な治療法を選択したいと思っています。保険適用の治療では妊娠に至らず、保険適用外の治療や保険適用の治療と先進医療との併用での療養を希望される場合には、引き続いて高額な自己負担が生じてしまいます。  今回の不妊治療の保険適用化は画期的なことであり、しかしながら、今申し上げましたようなケースでより高い成果を望む方々の感情にブレーキがかかることにならないよう、今後も国の制度についてより柔軟に、当事者、現場の状況を鑑みた制度になっていくよう県としても注視していただきたいと思いますし、国に対しても働きかけをしていってほしいと思います。いずれにしましても、既に本年四月より不妊治療は保険適用になっています。このような制度の切り替えの際には、これまで特定不妊治療費助成事業を利用していて治療を受けてきた方々が、本年四月からの不妊治療の保険適用化に伴い円滑に移行ができるように対応していかないといけません。制度のはざまにより不利益を受けるようなことがあってはなりません。  そこでお伺いします。  不妊治療の保険適用化に伴い、昨年度以前より特定不妊治療を受けてきた方々に不利益が生じないよう、本県としてどのような取組をしているのかお聞かせをいただきたいと思います。  続きまして、保育人材の確保についてお伺いします。  厚生労働省は待機児童を解消することを目的として、具体的な保育の受皿の整備目標を定めるために、二〇一三年度から待機児童解消加速化プランを、そして二〇一八年度からの子育て安心プランに続くものとしまして、二〇二〇年十二月に新子育て安心プランを公表しました。  この新子育て安心プランでは、二〇二一年度から二〇二四年度までの四年間で、二〇二五年度の政府目標でもあります二十五歳から四十四歳までの女性就業率八二%に対応するために、新たに約十四万人分の保育の受皿を整備することとしています。受皿という言葉、私はあまり好きじゃないんですけれども、子供を持つお母さんがどんどん社会で働いてほしいという目標、八二%という高い目標、これを実現するためには、新たに十四万人ものお子さんをお預かりする場所をつくっていこう、こういうことであります。そのためには、施設を造るだけじゃなくて、しっかりと保育士さんなど保育人材も確保していかないといけないよと、こういうことであります。  一方、愛知県においても、あいちはぐみんプラン二〇二〇─二〇二四を策定し、安心して子供を産み育てることができる社会の実現、これを基本目標に掲げ、市町村における計画的な保育所等の整備、多様な保育サービスの拡充など、様々な施策に取り組んでいることと存じます。  国が発表しました本年四月一日時点での待機児童数は二千九百四十四人となっておりまして、これは一九九四年の調査開始以来最少となりました。近年のピークでありました二〇一七年の二万六千八十一人と比べると約九割減となっております。このように待機児童が大きく減少した理由には、保育施設の整備が進んできたこともありますが、少子化の影響でそもそも子供の数が激減し続けていることに加え、新型コロナウイルス感染症の影響による、いわゆる預け控えもあるようでありまして、コロナ禍が一段落すれば再び保育ニーズが高まる可能性も心配をされております。  少子化の影響により、一部の人口減少地域では保育施設の入所定員に欠員が生じているところもあり、国は来年度から保育所の空き定員を活用して、どの施設にも通っていない未就園児を対象に、定期的な預かりに関するモデル事業に取り組むなど、保育施設の多機能化を進める方針でもあるとのことであります。こうした取組によって、ふだんは子供を預けることが難しい環境であっても、例えば共働きでない御家庭、また例えば双子や三つ子ちゃんといった多胎児をお育ての御家庭など、現制度下では家庭内だけで子育てをしておられる保護者の方が保育士さんのサポートを受けられるようになれば、子育てによる不安や孤独感の軽減、また育児ストレスによる児童虐待のリスクを減らすためにも非常に有効であり、今後こうした取組が広がっていくことを期待しているものでもございます。  さて、本県の待機児童の状況を見ますと、本年四月一日時点で五十三人と、昨年の百七十四人から七割近く減少をしております。また、待機児童のいない市町村は、昨年が四十四市町村であったものから五十一市町村となり、もちろん隠れ待機児童もまだ現場ではおりますので、引き続き取組を継続していかなければなりませんが、これまでに積極的に進めてきた保育環境整備が実を結びつつあるとも感じております。  保育人材の確保という点でいけば、本県の年間を通じた保育士さんの有効求人倍率の平均値は二〇一四年度には一・〇六でありましたが、急速に保育環境の整備を進めてきた影響により、二〇一九年度には三・〇一倍とピークに、直近のデータであります二〇二一年度には二・二五倍であるなど、依然として保育施設においては保育士さんの確保に非常に苦労をしている実態がございます。また、県内の地域によっては、保育施設は整備されているものの、保育士不足により定員にはまだ空きがあるにもかかわらず子供を受け入れることができないといった施設もあり、待機児童のさらなる解消はもとより、先ほど御紹介をしました地域において安心して利用できる保育サービスを提供していくためにも、保育士さんの確保は大変重要な課題であります。  そこでお尋ねをいたします。  保育士不足が続く中、本県として保育人材の確保にどのように取り組んでいくのか、お聞かせをいただきたいと思います。  最後に、老人クラブについて数点伺いたいと思います。  老人クラブ、最近は呼び方を変えているところも多いかと思いますけれども、私の地元東浦町では、最近はゆうゆうクラブと名前を変えております。阿久比町ではいきいきクラブというふうに名前を変えてもおります。その老人クラブについて数点伺っていきたいと思います。  この質問をしようと思いましたのは、私の地元であります阿久比町の老人クラブの会長さんから、老人クラブ、会の維持、運営について様々な意見交換をさせていただいた際に感じることが多くございました。また、東浦町も含め地元の老人クラブの方や役場の職員さんに現状を聞いていきますと、老人クラブという制度が、今日の地域や高齢者を取り巻く実態と合致しているのかという思いがきっかけになりました。そうした観点で進めていきたいと思います。  まず、この老人クラブとは、地域を基盤とする高齢者の自主的な活動組織であり、戦後各地に広まったということです。昭和三十八年に施行された老人福祉法第十三条第二項において、地方公共団体は、老人の福祉を増進することを目的とする事業の振興を図るとともに、老人クラブその他当該事業を行う者に対して、適当な援助をするよう努めなければならないと位置づけられております。この条項を基に、国では老人クラブ活動等事業実施要綱を定めており、老人クラブに対する公的な補助を行っています。補助金ですね。負担割合は国、県、市町村と三分の一ずつであります。  クラブは活動が円滑に行える程度の同一小地域に居住する者で組織をし、会員はおおむね六十歳以上、一クラブおおむね三十人以上とされております。活動内容は、趣味や交通安全、防犯、ボランティアなどなど多岐にわたりますけれども、こうした活動は高齢者の生きがいや健康づくりに資するほか、地域の見守り、支え合い活動の推進にとって重要な役割を担っているとして、国は県や市町村に対し、老人クラブ活動の意義、有効性等について再認識をし、老人クラブ活動の促進について配慮するよう求めております。と、こういったことが老人クラブを考えるときに前提としてあります。  一方、全国的に高齢者の数は年々増加傾向にあるものの、全国の老人クラブの数及び会員数は、一九九七年度末の十三万四千二百八十五クラブ、八百八十六万九千八十六人、これをピークに減少傾向でありまして、直近の二〇二〇年度末では八万九千四百九十八クラブ、四百七十一万二千百八十二人となっております。ちょっと数字を述べましたけれども、これって結構とんでもない数字でして、二十三年間で、ピークから、クラブの数は三三%減です。要するに三分の二になっております。会員数に至っては四七%の減、約半減ですね。高齢者の数は増えているにもかかわらず、老人クラブの数及び会員数は激減をしている、こういう現状があります。地元の老人クラブの加入者数も減少しておりまして、同様の傾向であると聞いております。  そこで、まずお尋ねします。  県内の老人クラブの数及び会員数について、最近の推移をまずお聞かせいただきたいと思います。  次に、老人クラブの活動に対する県の取組についてお尋ねします。  本県として、地域の老人クラブの抱える課題に対し、様々取り組まれていることと思います。加入率も年々下がっていると聞いておりますし、組織活動の基盤となる会員数の増加が強く求められていることとも思います。社会情勢の変化によりまして、老人という言葉、響きに対するイメージも大きく変化しているとも思います。  そこでお尋ねします。  老人クラブについて様々課題があるとは思いますけれども、その課題に対し、県はどのように取り組んできたのか伺いたいと思います。  続けます。地元の方々からは、老人クラブの役員をやりたくないから加入したくないんだという声をお聞きすることもありました。昨今、どこの団体でも課題となっておりますけれども、役員の成り手不足が深刻であるという状況もあるのかなと感じます。例えば、私の地元阿久比町、人口約二万八千人でございますが、二〇二一年度末時点で六十の老人クラブがあります。人口二万八千人ね。東浦町は人口約五万人でございますが、老人クラブは六十三あります。これ、いかがでしょう。少なくとも私は、多いなと率直に感じます。皆さんのお地元はいかがでしょうか。それぞれに会長さんがいて副会長さんがいて、会計さんがいてという具合でもあります。  でも、イメージしていただきたいんですが、小学校区ごとぐらいに公民館があったり、あるいは老人憩いの家があったり、児童館があったり、大体そこぐらいの単位で活動ってされていることが多いですね。普通に考えれば、同じような地区で同じような活動を行っているんだから、一緒の団体、一つの老人クラブになればいいというふうに思うんですけれども、そうはなっていない。じゃ、何でこんなことが起こっているのかというと、私はその要因の一端に補助金の出し方があるように感じております。  といいますのも、補助金の算定がクラブ単位であることがあります。各市町村ごとに老人クラブ連合会というその市町村を束ねる連合会、老人クラブ連合会というのが一つずつあります。そこに補助金は下りるんですけれども、そのほかに単位老人クラブごとに幾ら幾らというふうに補助金を申請するという制度に本県はなっております。さきにお伝えしたように、一単位老人クラブはおおむね六十歳以上、おおむね三十人以上というある種基準があります。できるだけ多くの単位老人クラブをつくることが受ける補助金の最大化を図ることになり、無理を来している状態であるとも、少なからず言えるのかもしれません。これまでの補助金をできるだけ維持しようとする意識からか、老人クラブの数を維持していくことに注力してしまうようなことになれば、それは活動の実態とはかけ離れてしまうことにもなりかねません。もしそうした要因があるのであれば、実態に合った補助金の仕組みを考えるということも大切なんだと思います。  他県の状況を見ますと柔軟に対応しているケースもあり、私も今勉強をさせていただいております。現に、私の地元の老人クラブでは、それぞれに役員を置いて会計を分けて、申請書や報告書など書類を別々に作成するなど、事務作業の煩雑化を招いているとも聞いておりますし、会長名でつくっている銀行の通帳なんかも、会長さんが代わると名義を変更したりとか、様々な雑務が多いというふうにも聞いています。  そこでお尋ねをしたいと思います。  役員の成り手不足、様々な申請や活動報告などの事務作業の煩雑化の回避のため、現状の補助金の仕組みを変えるということも一つのアイデアであると思います。例えば、地域老人クラブ単位ごとに支給している今の補助金を、会員数割、例えば人数に応じてでも申請できるようにするなど、その運用を柔軟に対応できるようにすることも有効であると考えますが、本県としての所見を伺いたいと思います。  冒頭で申し上げましたとおり、老人クラブという制度が今日の地域や高齢者を取り巻く実態に合ってないのではないかという思いから、老人クラブの現状や県の取組、補助金の弾力的な運用見直しについてお尋ねしてまいりました。老人クラブの在り方については、しっかりと考えていくときに差しかかっていると私は思います。正直言って、六十歳ってまだまだ皆さんお元気ですし、昭和三十八年の法律を今も同じ観点から運用しているということであれば、少し時代遅れなのかなというふうにも感じます。健康づくりや趣味に資する時間の使い方も多様化しております。人付き合いにしてもコロナ感染症でも大きく変化をしましたし、ICTやDXなんかでも大きく変化をしておると思います。高齢福祉の重要性については言うまでもありませんが、高齢福祉に老人クラブというものがどのようにタッチしており、これからどうあるべきなのかということは引き続き考えていかなければならないと私は思います。  最後にお伺いします。  老人クラブの役割、在り方について県としてどのように考えているのか、改めてお聞かせをいただきたいと思います。  以上、壇上からの質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 31: ◯県民文化局長伊藤正樹君) 女性の活躍促進についてお答えします。  本県では、男女がともに性別にかかわりなく、個性と能力を十分に発揮し生き生きと働くことができる社会の実現に向けて、これまで様々な事業に取り組んでまいりました。  中でもあいち女性輝きカンパニーの認証制度は、女性活躍に取り組む企業の裾野を広げることから特に力を入れて取り組んできたところであります。その認証件数は、二〇一五年度の制度創設以降、年間百件から二百件の間で推移してきましたが、昨年度は一年間で三百九件の認証実績となり、過去最高となりました。累計の認証件数は、本年十二月一日時点で千百九十二件となり、あいち男女共同参画プラン二〇二五に掲げた二〇二五年度の目標数である千二百件を本年度中に達成する見込みとなっております。こうした動きは、これまでの地道な働きかけにより女性活躍の必要性が企業に浸透してきたものと考えていますが、今後も本県企業の大半を占める中小企業に対して、市町村や地域の商工会議所、あいち女性の活躍プロモーションリーダーを委嘱している企業、団体と連携をしながら、さらなる働きかけを行ってまいります。  また、製造業等の経営者からは、男性の職場というイメージが強いせいか、女性を募集しても応募がないという声をいただいており、本県では、昨年度から若い世代に性別にとらわれずに進路や就職先を考えていただけるよう、中学、高校、大学等でキャリアコンサルタントや様々な企業の方に出前講座を実施しております。昨年度は合わせて二千名もの生徒、学生に御参加をいただき、参加者からは自分でも無意識のうちに性別役割分担意識を持っていることに気づかされた、こうした意識を変えていきたい等の感想をいただくなど、大変好評でありました。今後もこうした事業に力を入れていくことで全ての業種において女性が活躍できるよう、しっかりと取り組んでまいります。 32: ◯保健医療局長(吉田宏君) 特定不妊治療に関する県の取組についてお答えいたします。  不妊治療に対する支援は、不妊症に悩む方にとって心の支えとなる大変重要なものでございます。体外受精などの特定不妊治療は治療費が高額となることもあり、治療を受ける方には大きな負担となっておりましたが、本年四月から医療保険の対象となったことで、治療費の大幅な軽減につながり、治療をより受けやすくなっております。  一方、昨年度中に不妊治療を開始され、現在も治療を継続中の方には医療保険が適用されないという問題がございます。そのため、県では年度をまたいで治療を行っている方が不利益とならないよう、昨年度まで実施しておりました特定不妊治療費助成事業を今年度も実施しております。年度をまたいで治療されている方々が確実に助成事業を受けられるよう、産科医療機関を通じ、制度周知に努めてまいります。  今後とも子供を望む方が安心して不妊治療を受けることができるよう、しっかり取り組んでまいります。 33: ◯福祉局長橋本礼子君) 保育人材の確保についてお答えいたします。  本県では、あいちはぐみんプラン二〇二〇─二〇二四に基づきまして、保育士の養成、処遇改善等による離職防止、保育士資格を持ちながら就業していない潜在保育士の再就職支援を保育人材確保対策の三つの柱として、様々な取組を行っております。  保育士の養成では、養成施設に在学し保育士資格の取得を目指す学生さんに対しまして、資格取得後に保育所等に五年間勤務することで返済免除される修学資金の貸付けを行うとともに、離職防止では、保育士の給与改善や保育補助者の配置に対する助成等により、魅力ある働きやすい職場環境の整備を進めております。また、潜在保育士の再就職支援としては、保育士・保育所支援センターを設置し、再就職に関する相談や求人と求職のマッチングなどを行っております。  こうした取組によりまして、県内で働く保育士数は二〇一九年十月に常勤換算で二万六千八百八十七人でありましたところ、本年二〇二二年四月時点では二万九千二百五十五人まで増加いたしました。  さらに今年度から保育士の養成を一層促進するため、修学資金の新規貸付け枠を従来の六十五人から百二十人まで拡充するとともに、保育士・保育所支援センターに配置しておりますコーディネーターの対応時間を拡大し、潜在保育士のさらなる掘り起こしを行うなど、再就職の促進を図っているところでございます。  県といたしましては、今後もこうした取組を着実に推進するとともに、保育の実施主体であります市町村とも連携を図りながら保育人材の確保に努めてまいります。  次に、老人クラブについてお答えいたします。  まず、クラブ数等の推移でございます。二〇二一年度末の県内の老人クラブ数は四千七百九十一クラブでありまして、ピークでありました一九九九年度末の七千百十四クラブに比べまして、約三割減少いたしております。また、会員数は三十万二百七十人でございまして、これもピークでございましたのは二〇〇〇年度末でございますが、五十一万九千五百六十三人でございましたので、これに比べますと約四割の減少ということでございます。  次に、老人クラブの課題と県の取組についてであります。  退職年齢の延長や高齢者の活動の多様化などによりまして会員が減少していることに加え、既存会員の高齢化により活動に支障が生じている事例もあることから、新規会員の加入促進及び活動の活性化が課題であると考えております。このため、県では、市町村を通じまして老人クラブに対して補助金を交付するとともに、愛知県老人クラブ連合会が行う勧誘パンフレットの作成、配布などの広報活動をはじめ、市町村老人クラブ連合会の役員さん等に対します研修や、趣味、スポーツの各種県大会の開催などに対して支援しているところでございます。  次に、県の補助金についてであります。  現在、老人クラブの補助金につきましては、活動の活性化を図るため、高齢者の家事の手伝い等を行う生活支援活動や清掃等のボランティア活動、趣味等のサークル活動など、事業実施数に応じて市町村を通じて助成を行う仕組みとなっております。このため、補助金の算定方法の変更につきましては、まずは市町村に対しまして、地域の実情やクラブの活動実態、変更に伴う影響などにつきましてヒアリングを行うとともに、他県の状況についても調査してまいりたいと考えております。  最後に、老人クラブの役割等についてであります。  老人クラブは地域を基盤とする高齢者の自主的な組織であり、高齢者の知識や経験を生かし、生きがいと健康づくりはもとより、高齢者相互の生活支援やボランティア活動を行うなど、地域活動の担い手としての役割を果たしていただいております。老人クラブを取り巻く環境は時代とともに変化しておりますが、地域を支える重要な組織であるということから、県といたしましては老人クラブの活動を引き続き支援してまいりたいと考えているところでございます。  今後とも老人クラブへの加入促進や活性化に向けまして、市町村や愛知県老人クラブ連合会と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。 34: ◯副議長佐藤一志君) 進行いたします。  神谷和利議員。     〔二十四番神谷和利君登壇〕(拍手) 35: ◯二十四番(神谷和利君) 豊田市選出、自民党の神谷和利でございます。  通告に従いまして、私からは三つの項目について順次質問してまいります。  質問の第一は木材利用の促進についてであります。  先日、私の地元豊田市をはじめ、愛知県、岐阜県でラリージャパンが開催されました。私も観戦に出かけました。テレビでもスペシャルステージを走るラリーカーの様子が放送され、豊田市下山地区の林道を信じられないような速さで走り抜けるシーンは非常に迫力があり、ぜひ来年も見てみたいもんだと思った次第であります。  そんな中、沿線沿いの森林に目をやりますと、太く育った木が非常に多くあることに気づきます。愛知県では古くから盛んに植林されてきたと聞きますが、森林を目の当たりにし、森林資源が充実していることを改めて実感させていただきました。  森林を見れば、本県が進めてきた人工林整備事業により、手入れが行き届かない人工林の間伐が順調に進んでいることが伺えます。つまり、供給原木の主体が小・中径材から中・大径材へと移りつつあり、直径三十センチを超える大径材の供給量が今後大きく増大することは明らかであります。いよいよ県産木材の時代が到来したと思いたいところですが、地元の製材工場の話を聞きますと、柱や土台用の製材品を量産するために直径二十二センチから二十八センチ程度の丸太が欲しい。これより太いものは買ってもよいけれども、安くなるということでありました。本来は山にある資源は幅広く活用してほしいところでございますが、これは製材の歩留りを高くして生産効率を上げるためにやむを得ないことであるとは思います。  しかしながら、植えてから下刈りや間伐を繰り返しようやく立派に育った木がたくさんあるのに、太くなり過ぎたために需要が少なくなり、かえって価格が安くなってしまうというのは、森林所有者の気持ちを考えると非常に残念でなりません。  私は、令和三年六月議会の一般質問で、県産木材の安定供給についてということで質問をさせていただきました。そのときの答弁の中で、木材需給情報システムの導入に取り組んでいくというものがありました。このシステムで情報を共有することで、林業経営体は製材工場が必要とする樹種や太さ、長さ、量などをリアルタイムに把握することができ、これまでの見込み生産から需要に応じて生産する、いわゆるマーケットインの生産へ転換を進めることができるというものでありました。幾ら製材工場が必要とする需要情報が共有できても、その中に直径三十センチを超える大径材の需要がなければ、山の大径木は行き場をなくしてしまうわけであります。  昨年度社会問題になりました輸送用のコンテナ不足による外国産木材の入荷の遅れと、アメリカなどで急激な木材需要の増加による価格高騰、いわゆるウッドショックはようやく収束しているようでありますが、この秋まで円安傾向など外国産材の供給は不透明さが残っております。そのため、ウッドショックで調達に影響を受けた木材業者は、為替や外国の景気など世界的な情勢の影響を受けにくい国産木材へとシフトを模索しているというふうに聞いております。  本県では、本年四月一日に愛知県木材利用促進条例を施行し、それに基づき制定された木材利用の促進に関する基本計画において、県産木材をはじめとする木材の利用が県域全体に広がることを目指し、公共建築物のみならず、民間建築物の木造・木質化にも力を入れていくとされたところでございます。山には利用期を迎えた森林資源がたくさんあり、今はまさに充実した資源を余すことなく生かすことができるよう、しっかりと取り組んでいく必要があります。  木材の最大用途は建築用ですから、大径材を住宅等の建築部材として利用することが極めて重要なことであります。木造建築の構造は、柱などの垂直材とはりやけたなどの横架材で構成されているわけですが、強い強度が要求される横架材は国産材の割合が極めて低く、ベイマツや外材を原料とする集成材などの輸入材が使われていましたが、ウッドショックや急激な円安により輸入材が高騰し、調達が難しい場合には設計変更したり完成が遅れたりする、そういう事例があると聞いております。  そこでお尋ねをいたします。  建築物への木材利用を進めていく中で、太く立派に育ったいわゆる大径材の利用策を打ち出していくことが必要であると思いますが、現在の状況と取組の方向性について伺います。  質問の第二は、豊田市内の県管理河川の河川改修についてであります。  近年、線状降水帯による大雨によって、毎年のように各地で河川の氾濫や土砂災害等による甚大な被害がもたらされております。  本県でも今年七月二十七日には、西尾市付近で一時間に一〇〇ミリ、八月三十日には田原市西部付近で一時間に一二〇ミリ以上の猛烈な雨が降ったと見られ、記録的短時間大雨情報が発表されました。また、九月二十三日には台風十五号の影響により、災害級の大雨をもたらす線状降水帯が発生したとして、本県で初めて顕著な大雨に関する情報が発表され、田原市全域と西尾市と幸田町の一部に避難指示が出されました。これらの大雨では人的被害に至らなかったものの、県が管理する中小河川において護岸や堤防に被害が発生しており、安城市の半場川や幸田町の広田川では未改修の区間で堤防が決壊しております。  これまでも、私の地元の豊田市では、今年は幸いにも大きな災害は発生しておりませんが、矢作川水系郡界川──下山地区でございますが──で広範囲に河床が洗掘され、護岸の基礎部分が露出しており、早期に改修する必要があり、今年度対応していただけると聞いております。また、逢妻女川上流部、猿渡川上流部、滝川においても護岸が洗掘され、周辺農地に被害が及ぶおそれがあったため、速やかに応急措置が行われ、非出水期間中に本復旧をする予定となっております。また、郡界川が矢作川支川の巴川に合流する手前で護岸が未整備であった箇所の民地が崩壊寸前の状態となっており、今後対応が望まれる自然河岸もあります。このように、近年の異常気象がもたらす豪雨災害に備え、県管理河川の改修を着実に行う必要がございます。  まず、境川水系逢妻男川及び女川についてでございます。都市化の進展が著しく、早急に治水安全度を向上させることが困難となった境川・猿渡川流域においては、昭和五十年代より総合治水対策として従来の河川改修、下水道整備等を急ぐとともに、流域の関係機関と連携して、雨水貯留施設の整備や農地の保全など、流域が従来から有している保水・遊水機能の保全等に努めているところであります。また、東海豪雨等を経緯に制定された特定都市河川浸水被害対策法に基づき、境川・猿渡川流域を平成二十四年に特定都市河川流域に指定し、五百平方メートル以上の雨水浸透阻害行為に対して流出抑制対策を義務づけるなど、総合治水対策に取り組んでまいりました。さらに、令和三年からは流域治水へ発展させ、県と市町が一体となって激甚化、頻発化する豪雨への対策を進めることとしましたが、その根幹となるのはやはり河川改修であり、その重要性はますます高まっているところでございます。  豊田市内を流れる境川水系の逢妻男川、逢妻女川は、改修が始まって四十数年になります。この両河川について、流域対策と併せ、年超過確率十分の一の規模の降雨に対して著しい浸水被害の解消を目指し、これまで下流から改修が進められてまいりましたが、この間にも流域の都市化が進み、上流の住民の皆さんからは、大雨が降るたびに浸水するのではないかと心配でいられないと不安が寄せられており、未改修区間の整備は喫緊の課題であります。  次に、矢作川水系家下川についてであります。  県管理区間の最上流部に明治用水と交差している箇所があり、明治用水建設当時、豊田市鴛鴨町葭池付近の低地を越えて用水幹線を通すために、高さ数メートルの築堤を行ったものであります。その結果、既存の家下川と明治用水は立体交差となり、明治三十三年に築造された葭池樋門といわれる長さ三十九・四メートル、高さ二・六メートル、幅一・七メートルの半円形アーチの暗渠を家下川は通ることになりました。この葭池樋門は明治用水建設における最大の難工事と言われ、旧頭首工と並び愛知県の近代化遺産に登録されているところであります。  家下川流域は矢作川右岸の碧海台地に囲まれた低地であり、常に湛水の常襲地として度々の水害に悩まされ、雨期には水との闘いに明け暮れた地域であります。現在、沿線の都市化が進み、家下川も葭池樋門より下流部は河川改修が完了しており、年超過確率十分の一の規模の降雨による洪水を安全に流下させることができる能力が確保されております。しかしながら、その上流では葭池樋門がボトルネックとなっているために、度々浸水被害が発生しております。樋門の改修が不可欠となっております。  そこでお尋ねをしてまいります。二点です。  まずは、逢妻男川及び逢妻女川の河川改修の進捗状況と今後の見通しについてお伺いをいたします。  また、家下川の葭池樋門の河川改修の今後の見通しについてお伺いいたします。  質問の第三は、名鉄三河線の整備促進についてであります。  令和元年六月定例議会、私が県議会議員になって初めての一般質問は、リニア開業効果を高める公共交通ネットワークの構築に向けた取組でありました。その中で、名古屋駅と豊田市間の速達化に向けた名鉄三河線の複線化の取組状況と愛知県としての役割について質問をさせていただきました。当局からは、取組状況については、本県ではリニア開業を見据え、名古屋駅と豊田市間の速達化に取り組んでおり、現在、名鉄、豊田市と共に名鉄三河線の複線化に向けた検討を進め、具体的な手法などを継続して協議しているところである。また役割については、地元豊田市は人と環境に優しい交通まちづくりを推進しており、名鉄三河線の複線化は駅周辺をはじめとしたまちづくりと密接に関係していることから、本県としても豊田市のそうした立場を十分に踏まえた上で関係者の合意形成を図っていく。名鉄三河線の複線化に向けて名鉄、豊田市と協議を加速させ、本県の関わりを含めた事業スキームの具体化に取り組んでいくと御答弁をいただきました。その後、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響により状況の変化があったと思われますが、改めて、知事の公約の一つでございます名古屋駅から鉄道による四十分交通圏の拡大、豊田市の速達化について確認をさせていただきます。  名鉄三河線の知立駅から豊田市駅までの状況でございますけれども、知立駅では現在、知立駅付近連続立体交差事業が進められております。名鉄名古屋本線と三河線の乗換駅である知立駅を、一階は改札、二階は名古屋本線、三階は三河線という三階構造とするもので、二〇二七年度には三河線の切替えにより、高架化が完了する計画だと聞いております。知立駅付近連続立体交差事業に伴い、次の三河知立駅は東に移設され、平面駅になる予定であります。三河八橋駅は花園地区区画整理事業とともに二〇一〇年度に高架化事業が完了し、また若林駅は既に高架化されている三河八橋駅付近から連続しての若林駅付近連続立体交差事業が進行中で、二〇二五年度の高架化事業完了を目指しているところでございます。土橋駅は高架化されずに、土橋地区区画整理事業に伴い、二〇〇九年度に橋上駅舎化されました。豊田市駅は一九八六年度に高架化事業が完了し、現在駅舎改修計画があると聞いております。これ以外の竹村駅、上挙母駅については、駅舎改修計画等も現在聞いておりません。
     現在、名鉄名古屋本線の名古屋駅から知立駅間は特急で二十分、名鉄三河線の知立駅から豊田市駅間は単線各駅停車で二十五分、知立駅での乗換え時間を入れますと五十五分以上かかります。名古屋駅─豊田市四十分交通圏を確立するには、名鉄三河線の複線化及び特急列車などの優等列車の運行は必須であり、名古屋本線から三河線への直通運行も期待されるところでございます。  そこで改めて確認をさせていただきます。  名古屋駅と豊田市間の速達化に向けた名鉄三河線の複線化の取組状況と愛知県としての役割をお伺いいたします。  以上、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 36: ◯農林基盤局長(長田敦司君) 大径材の利用について、現在の状況と取組の方向性についてお答えいたします。  県内のスギ・ヒノキ人工林では、林齢六十一年以上の割合が約半分を占めており、直径三十センチメートルを超えるいわゆる大径材が増加しております。この大径材の利用を進めていくことは高齢化した森林の若返りを促し、林業の振興だけでなくSDGsやカーボンニュートラル社会の実現にも貢献することから、大変重要な取組と考えております。  現在、木造建築物で使われる木材は外国産材から国産材へ少しずつ転換されてきており、国産材の利用率は柱材では約五割、合板では約八割を占める一方、はりやけたといったいわゆる横架材では、まだ一割ほどに過ぎません。横架材での国産材利用が進まない理由としましては、国産のスギやヒノキよりも強度があり、これまで安定的に入手しやすかった外国産のベイマツ等が使用されてきたためであります。  こうした中で、県の森林・林業技術センターは、名古屋大学等と共同で強度試験を行い、はりやけたの断面の縦寸法を大きくすることで、県産スギ、ヒノキの大径材を横架材に活用できることを実証しております。また、この実証結果を愛知県産材利用の手引きとして取りまとめて公表するとともに、愛知県木材組合連合会及び愛知建築士会と連携して、建築士を対象に設計に関する研修を行い、横架材の外国産材から県産材への転換を図っているところでございます。  県といたしましては、これまでの取組に加え、県産横架材を使用した民間建築物で現地研修を開催するなどPRに努めるとともに、木材団体や建築士、建設会社等との連携を一層強化し、大径材の利用促進に取り組んでまいります。 37: ◯建設局長道浦真君) 豊田市内の県管理河川の治水対策についてであります。  まず、逢妻男川及び逢妻女川につきましては、二〇一四年三月に公表した二級河川境川水系河川整備計画に基づいて整備を進めております。  逢妻男川につきましては、主要地方道名古屋岡崎線の若林高架橋付近から上流の約五キロメートルで河道拡幅などを計画に位置づけております。これまでに下流側から約一・六キロメートルの河道拡幅とその間にある三橋の橋梁改築が完了するとともに、現在はさらに上流に向かって約一・二キロメートルの区間で整備を進めており、用地取得が二〇二〇年度までにおおむね完了したことから、一般県道鴛鴨みよし線の交角橋の改築と護岸工事に着手しております。一方、上流部において、豊田土橋土地区画整理事業と同調して整備を進めていた約〇・五キロメートルの河道拡幅と五橋の橋梁改築が完了しております。  次に逢妻女川につきましては、豊田市堤町地内の逢妻女川橋から上流の約四・七キロメートルで河道拡幅などを計画に位置づけており、これまでに約〇・三キロメートルの河道拡幅とその間にある伊勢堤橋の改築が完了しました。現在は伊勢堤橋の上流、松竹橋までの約〇・四キロメートル区間で整備を進めており、昨年度までに用地取得が完了し、護岸工事を実施しております。また、この区間の完了のめどが立ったことから、今年度よりさらに松竹橋から上流、丘越橋までの約一・一キロメートルの用地測量に着手してまいります。  次に家下川につきましては、二〇一五年十月に公表した一級河川矢作川水系矢作川中流圏域河川整備計画に、明治用水の明治本流と立体交差する葭池樋門の断面を拡大する改築を位置づけております。本県が行う樋門の改築工事は東海農政局が行う明治本流の耐震化工事と同時に施工することとしており、二〇二〇年度までに本体構造物の設計を完了しております。現在は用水の切り回しなどの具体的な施工方法や費用負担などについて東海農政局などと協議を行っており、早期に事業着手できるよう努めてまいります。  今後も県民の皆様の安全・安心な暮らしを守るため、国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策などを活用し、事前防災対策にしっかりと取り組んでまいります。 38: ◯都市・交通局長(金田学君) 名古屋駅と豊田市間の速達化に向けた名鉄三河線の複線化の取組状況と愛知県としての役割についてお答えします。  本県では、名鉄三河線の複線化について、事業者である名古屋鉄道に対し継続して働きかけを行うとともに、地元豊田市と事業手法について協議を重ねてまいりました。  また本県では、知立駅付近での連続立体交差事業を進めており、この完了により移設される三河知立駅までの間が複線化されます。さらに、豊田市においても将来的に複線化が可能な構造で、若林駅付近において連続立体交差事業が進められております。  一方で全線の複線化については、多額の投資が必要であることに加え、新型コロナウイルス感染症の影響により、名古屋鉄道においても厳しい経営状況を強いられていることから、事業費の負担が一層の課題となっております。  そこで、事業費の負担の軽減に向けて、一部区間を先行して複線化するといった段階的整備の検討や、国庫補助制度活用について国との協議を豊田市と共に進めているところです。  県といたしましては、今後ともまちづくりの進展や経済状況などを踏まえつつ、三河線の複線化の実現に向けて継続して関係者との協議を進め、事業スキームの具体化にしっかりと取り組んでまいります。 39: ◯知事大村秀章君) 神谷和利議員の質問のうち、木材利用の促進につきまして、私からもお答えいたします。  来年一月にオープンする県産木材をふんだんに使った岡崎市内の高齢者福祉施設をこの間の日曜日に視察をさせていただきました。木の香りに包まれ、非常に温かみを感じられる、心からリラックスできる建物になっておりまして、改めて人が生活する空間と木との親和性が高いことに認識をいたしました。なお、この施設は認知症高齢者のグループホームということでありますので、まだ今、建築中でありますけれども、ヒノキ、スギ、木の匂いがふんだんにして、こういう施設こそ、こういう木材が非常にふさわしいかなというふうに改めて思いました。  そして、特に印象に残ったのは、はりやけたに県産の太いヒノキが用いられていたことでありまして、案内をしていただきました施工会社の社長さんからは、愛知県の森林は高齢化している、山の人たちが長い年月をかけて太く立派に育ててきた木材を積極的に使って山を元気にしていきたいという説明をいただきました。私もかねてから同じ思いを抱いていたところでございます。  県といたしましてはウッドショックなどを経験し、木材業界が国産木材へのシフトを模索し始めた今を需要拡大を図る絶好の機会と捉えておりまして、大径材をはじめとする県産木材の利用促進にさらにしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。 40: ◯二十四番(神谷和利君) 知事をはじめ、御答弁ありがとうございました。  私からは、各項目について要望を申し上げたいと思います。  まず、木材利用の促進についてでございます。SDGsやカーボンニュートラル社会の実現に対する意識が高まり、木材が環境に優しい資源として見直しをされております。今後、建築物における木造・木質化が定着していくに従い、県産木材のニーズも高まり、これに対応していくためには、木材の生産から流通、加工、利用までのサプライチェーンをしっかりと構築していくことが必要であります。そのためには、立派に育った森林から生産される木材がきちんと評価され、森林所有者に利益がもたらされる仕組みを構築しなければなりません。県産木材の利用促進に吹いている追い風をしっかりと捉え、機を逸することなく、大径材をはじめとする県産木材の価値向上に努めていただき、本県の森林資源の有効利用にしっかりと取り組んでいただくよう要望をさせていただきます。  続いて、県管理河川の河川改修についてでございます。二〇〇〇年の東海豪雨では逢妻男川及び逢妻女川が氾濫し、国道一五五号線等が冠水、産業の輸送に混乱を来したほか、周辺の部品工場が浸水、部品の生産、搬出ができず、トヨタ自動車が全面操業停止、一万七千台の車両生産に影響が出ました。  このように、水害により部品の供給がストップすることは産業活動に大打撃を与え、その損失額は計り知れません。御答弁によりますと、逢妻男川も逢妻女川もこの四十数年間の間に着実に河川改修が進捗していることが分かりましたが、まだ上流には河川改修が残っております。河川改修計画を前倒しして進めるには予算の確保が重要であります。国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策、実施期間は二〇二五年度までですが、それ以降も必要な予算確保に努めていただくよう要望させていただきます。  最後に、名鉄三河線の整備促進についてでございます。現在、鉄道に関する状況といたしましては、リニア中央新幹線については各地で整備が進み、コロナ禍の影響を受け減少していた鉄道利用者についても回復の兆しが見えており、アフターコロナを見据え動き出しております。  今後予定されている二〇二六年のアジア競技大会、WRC世界ラリー選手権といった国際的なイベントの開催効果を県内に波及させ、最大化を図るためにも、豊田市等の核となる都市間の速達化は必要であります。現在、鉄道事業者と豊田市の協議は時間を要していることを踏まえると、事業促進に当たっては双方に対して関わることができる愛知県の役割が重要であると思います。特に事業スキームの具体化に合わせ、愛知県が事業費の一部を含めた支援をすることで鉄道事業者との協議が進み、速達化の早期実現により、県が掲げる名古屋駅から鉄道による四十分交通圏への拡大につながると思いますので、一層の御支援を要望し、私からの発言を終わらせていただきます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 41: ◯四十一番(山田たかお君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 42: ◯副議長佐藤一志君) 山田たかお議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 43: ◯副議長佐藤一志君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後二時五十分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後三時四十分開議 44: ◯議長須崎かん君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  谷口知美議員。     〔七十三番谷口知美君登壇〕(拍手) 45: ◯七十三番(谷口知美君) それでは、通告に従い、未来を開く人が育つ愛知に向けて、スタートアップと中高一貫校に関して質問をしてまいります。  私の地元昭和区に日本最大のスタートアップ支援拠点STATION Aiが二年弱後の二〇二四年十月にオープン予定。中高一貫校の第一次校も二年四か月後の二〇二五年四月に開校予定です。  さて、現代は将来予測が困難なVUCAの時代と言われていますが、VUCAとは、ボラティリティー、変動性、アンサートゥンティー、不確実性、コンプレクシティー、複雑性、アンビギュイティー、曖昧性の四つの単語の頭文字を取った造語です。そうした社会に対応できる子供たちや、アイデアや思いを形にできる人が育つよう、これから二年ほどの間、スタートアップの人材育成や中高一貫校の準備を着実に取り組んでいただくべく、まず、スタートアップ支援としての人材育成について質問をしてまいります。  日本の国際競争力はこの三十年で一位から三十一位に落ちた、先進国のうち日本だけがこの二十年間給料が上がっていないなどが報道番組でも取り上げられていますが、こうした日本に関する危機感がまとめられている未来人材ビジョンが本年五月、経済産業省から発表されました。これは、あらゆるところでデジタル技術が活用され、脱炭素が世界的潮流になっている中での二〇三〇年、二〇五〇年の労働需要の変化を見据え、各種調査データを基に未来を支える人材を育成、確保するための大きな方向性と今後取り組むべき具体策を示したものです。  世界と比較しての日本の課題が幾つか示されていますが、そのうち四つ挙げますと、一つは日本企業のエンゲージメント、従業員の会社に対する愛社精神や思い入れは世界全体で見て最低水準ということ。ならば自分で起業しているのかと思いますが、二つ目は、転職や起業の意識を持つ人も少ない。三つ目、企業は人に投資せず、個人も学ばない。これでは、国や地域の成長は望めないと思います。四つ目、役員、管理職に占める女性比率が低い。ほかにもいろいろありますが、これらを背景にこのビジョンでは、これからの時代に必要な能力やスキルとして、常識や前提にとらわれず、ゼロから一を生み出す能力、夢中を手放さず一つのことを掘り下げていく姿勢、グローバルな社会課題を解決する意識、多様性を受容し他者と協働する能力といった根源的な意識、行動面に至る能力や姿勢が求められています。これは現在の課題にスピード感を持って取り組み、新しいものを開発していくスタートアップへの挑戦者に求められている姿勢でもあり、後で述べる教育の場でも求められていることです。  経済産業省調査によると、大学発ベンチャーは、二〇二一年度調査で三千三百六社と、起業数、増加数ともに過去最高とのことですが、世界と比較するとまだまだ起業を目指す割合は少ないようです。  しかし、今年、大学生グループがグラマという視覚障害がある方と晴眼者が一緒に楽しめるボードゲームを考案したとニュースになっていました。視覚障害者について知らなかったという気づきから一緒に楽しめるものを作りたいと開発したもので、文房具などの日用品の重さから、ありがとうの重さといったものまで重さを言葉で表現し合ったおもりをてんびんに乗せ、釣り合ったら成功というゲームです。今もクラウドファンディングで集めた資金でイベントを開催しており、身近な課題に気づき、仲間や支援者を集めながら協働して活動をしています。基本的なスタートアップの姿だと思いますが、義務教育段階からこうしたことを少しずつでも体験できれば、スタートアップを推進する人材の育成につながるのではないかと考えます。  そこで質問です。  この夏、小中高校生向けに起業家教育プログラム、あいちスタートアップスクールが開催されましたが、開催の意図とプログラムの内容、また、どのような結果を得られたのか、今後の取組を含めて伺います。  さて、先日、本県がスタートアップで連携を進めているイスラエルへの訪問団に参加をさせていただきました。午前中に日高議員からも御報告がありましたが、イスラエルは独立して七十余年、人口は約九百五十万人で、グローバルイノベーションランキングにおいては上位に位置しています。規模的には小ぢんまりとした国で、さらに砂漠が約六割、周りは戦争をしてきた国という環境下、海外とつながり、海外に市場を求めながら自分たちで生きていかなくてはならないという地勢的、歴史的な必然性もあってスタートアップが多く生まれています。また、イスラエル人は、常識にとらわれない、高い問題解決意識、ディベートの多い環境、失敗やリスクを恐れない、上下関係が少ないなどの特性があり、問題解決のために自由闊達に議論し、挑戦することがスタートアップにつながっているとのことでした。イスラエルのスタートアップ関係の方々は、失敗してもそれを次に生かしていく自国民の姿勢を誇りに思ってみえると感じました。逆に、短期間で急成長を目指すスタートアップを阻むものとしては、ヒエラルキーとボックスということで、このボックスというのは、シンクアウト・オブ・ザ・ボックスという慣用句に使われる既存の考え方という意味だと認識しています。  さらに、スタートアップを成り立たせるための五つのステップについて、一番目はアイデア、二番目はビジネスモデル、三番目、チーム、四番目、ファウンディング、そして五番目、タイミングだとのお話も伺いました。  スタートアップのスタートとなるアイデアという点では、多様な立場の方がそれぞれの経験値の中で感じる不便さや社会的課題改善への思いが種となっていけばと思います。例えば、女性の活躍の面で言えば、二〇二二年のジェンダーギャップ指数が百四十六か国中百十六位という日本の女性にはその改善のためのスタートアップの種はたくさんあると思います。  シリコンバレーで起業した日本人の堀江愛利さんという女性も、女性ならではの種を持っていたのですが、シリコンバレーでも女性の起業家が直面する壁、仕事と家庭の両立、投資家は男性が多く女性の視点からのビジネスモデルに共感してもらえなかったというスタートアップのステップ二の段階での壁、また、少数派の女性はネットワークになかなか入れなかったというステップ三のチームについての壁を経験されたということです。ここにもさきに述べたボックスがあったということですが、彼女はその後、女性起業家の成功を支援する独自のトレーニングプログラムを開発し、シリコンバレー発のこのプログラムは、今、日本国内でも展開されています。  女性や外国人、様々な背景を持つ幅広い年齢層の方など、スタートアップの種を持つ多様な方々が五つのステップをクリアして活躍し、社会へのインパクトがあるイノベーションを創造できるように支援の体制をつくっていただきたいと思います。そして、それがSTATION Aiが多様性に富んだ場としても機能することにつながると考えます。  もう一点、イスラエル人の特性として示されたようなリスクを恐れず、協働してチャレンジできる環境をどのようにつくっていくかもスタートアップにとっては大きな課題です。  先日、ドイツの方から、ドイツでは、社会は自分たちでつくっていくんだという意識を育む教育がされており、子供たちも当事者意識を持っていろいろとチャレンジしていると聞きました。また、社会に失敗しても学び直せる無料の教育システムがあることが大きいと思うとのことでした。  STATION Aiの開業に向けては、課題を見つけ、その解決のために自ら動き、失敗を恐れずに起業を目指す人を多く育成すること、そして、STATION Aiのメンバーに豊富な起業人材が集積するよう取組を進めることが必要です。  そこで質問です。  県がSTATION Aiの開業に先駆けて開設しているプレ・ステーションAiでは、現在、どのような方々がメンバーになっているのか、属性等について現状を伺います。  また、起業を目指してチャレンジしていく人材を育てていくために、現在どのような取組を進め、今後どのように展開をしていくのか伺います。  中高一貫校の質問に移ります。  公立でも六年間の一貫した学習環境下で学ぶ機会を選択でき、生徒一人一人の個性をより重視した教育の実現を目指して、学校教育法の一部を改正する法律が平成十年(一九九八年)六月に成立し、翌年四月から中高一貫校が選択的に導入できるようになりました。  本県では、中高一貫校の第一次導入検討校四校が本年四月に発表され、十一月二十八日には愛知県中高一貫教育導入方針案において第二次導入校も示されました。導入の狙いは、チェンジ・メーカーを育てる。スタートアップの人材育成でも述べたように、スキルや能力、また姿勢を育成することが求められています。  一次導入校、二次導入校を合わせると二〇二六年四月までの開校が、高校受験をしなくてもよい併設型中高一貫校十校、連携型一校の合計十一校となります。そのうち、探究学習重視型が七校で、七校中五校はスーパーサイエンスハイスクール実施校と音楽科、二校はグローバル探究実施校、不登校、外国にルーツがある、地域を支える人材育成といった地域の教育ニーズ対応型は三校、高度ものづくり型が一校となっています。  今回の質問に際しましては、千葉県立東葛飾中学校・高等学校、福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校で調査をさせていただきました。また、多くの中高一貫校を設置している茨城県、バカロレアの認定を受けた宮城県仙台二華中学校・高等学校がある宮城県にも質問を送り、回答をいただきました。その他、都道府県教委が発表している中高一貫校推進の状況、また、本県内の保護者や教育関係者の方などから伺った思いなどを基に質問してまいります。  先進県の中高一貫校についての取組や経緯を調べますと、設置に対する諮問に対し、学識経験者等を含めた研究や各種データを集めて答申された後、中高一貫校が必要となれば基本計画が策定され、具体的な取組を始めているところが見受けられました。公立での中高一貫校導入については、愛知県は全国の中では後進県ですが、導入検討から開校までが約三年というのは、他県と比較してもスピードが速いと言えます。  例えば、福島県で三校目となる福島県立安積中学校・高等学校は、二〇二六年四月の開校までに五年度間のスケジュールで進められ、二年度目当初に校舎などの整備に関する基本計画をつくり、教育内容等を盛り込んだ基本計画は四年度目当初に策定する予定となっています。  質問冒頭にも着実にという言葉を使いましたが、私は、こうした基本計画がまずはしっかりとつくられるべきではないかと考えています。現在の社会情勢を踏まえた上で、保護者や地域の方、学識経験者の方々らと一緒になって育てたい生徒像を明確にし、中高一貫校設置における課題を洗い出し、それにどのように対応していくのかをスケジュール感を持って進めていくべきです。  また、同じ公立学校といえども、高校と中学校では、入試を経て一定同レベルの生徒たちを教える高校と地域の多様な子供たちを育む中学校では文化が違います。そこに全く新しく、地域の枠を外した県立の中学校をつくるのですから、検討すべき課題はたくさんあります。今回発表された方針案には、導入の経緯として、高校の魅力化、特色化の必要性など、高校サイドからの記載が多くありましたが、県立高校の教員のみで発達段階が違う中学生をすぐに教えられるものでもありません。  ここで、先進県から伺った中高一貫校の課題から三つ示します。  まず、中学校と高校との連携、これは、中高一貫校の存在意義と関わり、六年間でどのような教育を行うかという教育課程の編成、目標達成に向けた各段階での到達度評価、教員配置など、大きく関わる大事な点だと考えます。  課題の二つ目は、教員の確保です。県立中学校は独立した中学校として、義務教育費国庫負担制度の下で教員定数が決まりますが、もともと教員不足で大変な時代です。公募や市町村への協力依頼など、他県でも確保に苦心しているようでした。本県では、教員の配置について、中高の人事交流や独自の採用枠を検討していくようですが、私は、県立中学校の教員はチェンジ・メーカーを育てるリーダー的存在として独自の使命を背負っていると考えています。その使命を十分に果たし得るように考えていかなくてはいけません。  三つ目の課題は、中高六年間で起こる中だるみです。視察させていただいた二校をはじめ、その他の県でも、一般的には高校入試が行われている時期に高校入試がない中学校三年生の海外研修を行っており、事前学習や成果を生かす取組が教育課程に組み込まれています。  以上、三つの課題について、県全体で中高一貫校の設置目的が十分に認識され、県立の中学校、高校が共通の目的意識の下、一体となって教育課程が編成されることが大事です。  スーパーサイエンスハイスクール認定校の高校が多く導入校となっていますが、スーパーサイエンスハイスクールは、その教育の推進のために国からの予算が充てられています。明和高校では、そうした予算を活用し、外部人材を活用した探求学習を行いやすいと伺っています。しかし、それらの高校がなぜ中高一貫校を導入したいと考え、六年間どのような教育を行えばチェンジ・メーカーを育てることができると考えているのかが明確にされなければなりません。  視察させていただいた福島県立ふたば未来学園では、変革者たれという建学の精神の下、未来創造学、演劇ワークショップ、リーダー学、哲学対話など、中高一貫校としての学習プログラムが設置されています。まず、ネーミングが魅力的ですが、放課後、自習していた生徒に、なぜこの学校を選んだのと質問したところ、未来創造学というのが面白そうだったとの答えがありました。この未来創造学は、被災からの復興を目指し、地域とつながりながら取り組んでいる探求学習ですが、神田昌典氏の著書、未来実現マーケティングでもこの探求学習の発表が取り上げられ、高校生が制作しているとは思えないクオリティー、福島第一原発事故後の風評被害という問題を解決するために事実に基づき整理、分析、そして自らの体験を踏まえて実行可能な解決策が提案されていると評されています。そして、神田氏は、未来創造型探求を進めるポイントは内発的動機であり、学校は地域課題解決へのシンクタンクとなり得ると紹介しています。  本県でも、地域課題や社会的な解決すべき課題に内発的に探求できるような中高一貫校を目指してもらいたいと思いますが、そのためには各学校それぞれの教育環境整備も必要になってきます。課題解決能力を高め、海外の大学にも挑戦できる資格、バカロレアを導入する中高一貫校も発表されています。既に導入している仙台二華中学校・高等学校では、関心校申請からプログラム開始まで三年間を要しています。専任教諭と外国人非常勤講師などで令和四年度の経費としては約千六百万円、ほかに加配教員分、教職大学院への派遣に係る人件費が必要となっているとのことでした。  不登校生徒を対象とする中高一貫校については、不登校生徒独自な支援も必要です。  愛知総合工科高校も導入校となりました。技術系人材の不足、エンジニアの不足が大きな課題となっている日本で、そうした人材を六年間でしっかりと育てるというのは重要なことです。しかし、公設民営という新たな方式を導入したにもかかわらず、定員割れになっているのはなぜなのか、分析がされたのか、小学生のニーズは把握されたのか、そして、県立中学校での教育内容も気になるところです。  現在、一次導入校では、各学校が主体となってワーキンググループをつくり、教育課程の骨子をつくっていると聞きましたが、ぜひ早い段階から地域の義務教育の教員と共に、探求意欲につながる地域課題を把握しながら教育課程をつくっていってほしいと思っています。  教員配置については、県が主体となって開校した愛知学園内の春日井市立尾東小中学校には、県内各市町村からの教員派遣をお願いし、計画的に赴任してもらっていると聞きました。県立中学校にも市町村からの教員派遣を依頼するに当たっては、市町村への影響を考え、計画的に進めていくことが必要となります。  さらに、教員配置について、先進県では、兼務発令で中高一貫校内での人事交流が行われていますが、そのために千葉県では、中高一貫校を導入した際に小中高の給与表を一緒にしたと伺いました。処遇面での検討も必要になってまいります。  ほかにも学校名、制服、市町村が行っている就学援助、給食、校歌などなど、来年の秋には保護者にも説明するとのことですが、中高一貫校全体の共通課題や各学校独自のことなど、決めるべきことが山積しています。  しかし、この学校で学びたい、入学してよかったと思える中高一貫校づくりのために、また、VUCAの時代でも活躍できる、自ら学び行動する生徒が育つよう、教育課程の編成に工夫を重ねながら準備を進め、さらに開校後も検証しながらよりよい教育の推進につなげていただきたいと思っています。  そこで質問です。  中高一貫校の教育目標達成のための教育課程の編成、教員の配置、その他予算措置等々、開校に向けて周到な準備が必要ですが、まず、中高連携しての教育体制の強化をどのように進めるのか伺います。また、導入後の検証まで含めた基本計画を策定するべきと考えますが、県教委の考えを伺います。  さて、既に県立中学校入学者選考に向けた塾の宣伝はにぎやかになっています。いわゆる大学への進学実績がよい高校に併設する県立中学校合格に向け、小学生とその保護者の方の受験への過熱が懸念されています。また、小学校高学年の時期に、発達段階として必要な学びや仲間との体験、また睡眠などが阻害されないように十分な注意と配慮が必要です。地域の教育ニーズ対応型の学校においても市町村立学校との関係性は重要です。  そこで質問です。  県立中学校入学者選抜の小学生への影響をどう考え、どう対応していくのか。また、県と市町村立学校の情報共有や、県立中学校開校による子供たちへの影響調査についての考えを伺います。  最後に、県が発表した導入方針案には、将来の予想が難しい時代においては、一部の人だけがチェンジ・メーカーとなるのではなく、これからの時代を生きていく全ての人がチェンジ・メーカーとして、それぞれの個性や能力を発揮し、様々な場面で変化を起こすことが必要になりますという記載が入りました。  中高一貫校の導入を契機に、全ての子供たちがより多くの人や出来事と出会い、感じ、考え、好きなことを見つけて未来を開くために行動できるよう愛知県全体の教育の充実につながることを願っています。  そこで質問です。  県教委として、中高一貫校の取組をどのように市町村の教育や地域に還元し、全ての子供たちが個性や能力を発揮できるようにつなげていくのか、想定している具体的な方策を伺います。  以上、明快なる答弁を期待して、壇上での質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 46: ◯経済産業局長矢野剛史君) あいちスタートアップスクールの開催意図、プログラム内容、結果及び今後の取組についてお答えをいたします。
     県では、今年度初めて県内の小中高生を対象とした起業家育成プログラム、あいちスタートアップスクールを実施いたしました。  このプログラムは、若年層の主体性や創造性、起業家精神を涵養することにより、この地域からスタートアップが輩出される土壌を育むことを意図しており、また、デジタル化や脱炭素化といった社会構造の大きな変革に対応できる未来の人材育成という意味合いからも大変有益な取組であると考えております。  また、プログラムの中身としては、参加者が日常生活から課題を見つけ出し、解決の方策をグループで討議しながらビジネスプランとして取りまとめ、発表するものとなっております。  このうち小学生を対象としたプログラムは、暮らしに役立つロボットを考案し、それを一人ずつポスターに描いて発表をいたしました。また、中学生は、スタートアップとして活躍する起業家から起業に至ったきっかけの話などを直接聞き、自分たちの考案した社会課題を解決するロボットを商品としたビジネスを企画し、資金調達から模擬販売、決算までの一連の流れを体験いたしました。高校生は、SDGsなどの社会課題に対してイノベーションを活用したビジネスの力で解決を図るアプローチについて学び、社会課題を解決する商品やサービスを企画し、収益モデルの検討などを行いました。  参加者からは、課題を定義してそれに基づくアイデアを出すのが難しかったといった声や、起業家さんの話を聞いて考え方や意見が分かりとても貴重な体験ができたといった感想がありました。また、当日行いましたアンケートでは、中高生の八割以上が将来起業したいと回答しており、将来が期待されるというところでございます。  今後ともこの地域で起業を志す若い人材を数多く育成する必要があると考えており、引き続きこうした取組を推進してまいります。  次に、プレ・ステーションAiのメンバー属性等の現状についてお答えをいたします。  二〇二二年十二月現在の登録メンバーは百五十五社となっております。この百五十五社の代表者を性別や国籍などの属性別に見てみますと、女性が代表となっているスタートアップは二十五社、全体に占める割合は一六%となっております。また、外国人が代表を務めますスタートアップは十二社で、全体に占める割合は八%となっております。このほか、学生が代表となっているスタートアップが二十四社、大企業で働きながら活動しているスタートアップが十四社あり、また、代表者の年齢は十代から七十代まで非常に幅広く、大学に在学中の学生起業家から大企業を定年退職後に起業された方まで多様な年齢層で構成されております。このように、現在プレ・ステーションAiでは、国籍や性別、年代の異なる様々な方々がメンバーとして所属し、起業を目指して活動されておられます。  最後に、起業を目指してチャレンジしていく人材を育てていくための現在の取組及び今後の展開についてお答えをいたします。  スタートアップとして起業を志す、目指す人材には、多様な属性、価値観を持った方々がおられますが、こうした起業人材への成長支援においては、画一的な支援にとどまらない、個々の事情に即したきめ細やかな支援が必要になると考えております。このため、現在のスタートアップの支援拠点でありますプレ・ステーションAiでは、スタートアップの抱える幅広い課題に対しまして相談やメンタリングに応じる統括マネジャーのほか、メンバー間の交流を促進するコミュニティー運営を担うコミュニティーマネジャーを常駐させ、様々な支援プログラムを提供しております。中でも、全てのメンバーを対象に一年を通じまして実施するファウンダーズプログラムにおいては、成功した起業家によるメンタリングのほか、コミュニティー内のピッチコンテストや交流会、勉強会などを開催することで緩やかなライバル意識を持ちながら切磋琢磨できる環境づくりや、スタートアップ同士の相互交流を促進するギルドと呼ばれるサブグループを形成する仕組みの導入など、成長の好循環につながるコミュニティー形成を重視したプログラムを実施しております。  また、プレ・ステーションAiに所属してない人材も含めました育成支援としましては、社会人や学生を対象に起業に必要な実践的スキルの習得を支援するあいちスタートアップキャンプを実施しているほか、県内で起業する意思のある方々を対象としたあいちスタートアップビジネスコンテストを開催し、選考されたビジネスプランのブラッシュアップを通じ、新たな起業家を掘り起こす取組を行っております。  現在、あいちスタートアップキャンプとあいちスタートアップビジネスプランコンテストの参加者からは、十七社がプレ・ステーションAiにおいて、起業や事業化のためのブラッシュアップに取り組んでおり、起業を目指してチャレンジする人材の育成が着実に進んでおります。  県といたしましては、二〇二四年十月のSTATION Aiの開業に向けまして、引き続きこうした起業人材の成長支援の取組を推進し、起業家予備軍の掘り起こしや多様な人材の育成を図ってまいります。 47: ◯教育長(飯田靖君) 中高一貫校に関するお尋ねのうち、初めに、中高が連携をした体制の強化と基本計画の策定についてお答えをいたします。  中高一貫校の開校に向けましては、教育課程の編成や教員配置のほか、給食や部活動など様々なことを決めていく必要がございます。そのため、導入校ごとに実務者レベルのワーキンググループを設置して具体的な検討を開始したところでございます。  このワーキンググループでは、高校だけではなく地元の義務教育の関係者も参加をして、お互いの知見を持ち寄り、中高が連携、協働をして検討を進めております。そして、導入校ごとのワーキンググループでの検討状況は、より幅広い委員で構成をする県立高等学校再編将来構想具体化検討委員会とその部会においてしっかりとチェックをしてまいります。  こうした作業を通して、導入校ごとに教育課程や教員配置などの開校までの決め事を詰めていき、開校後のフォローアップを含めた、言わば中高一貫導入アクションプランを取りまとめ、これを全体のフレームである、先日発表した導入方針に重ねていくことで、愛知県全体の基本計画とし、開校に向けた準備を着実に進めてまいります。  次に、入学者選抜の小学生への影響とその対応についてお答えをいたします。  中高一貫教育の導入を検討する会議におきまして、受験が過熱をすることへの懸念が義務教育の関係者から聞かれました。その理由は、入学者選考で行う適性検査が本県の公立学校では初めてとなることから、保護者が不安を抱き、中高一貫を目指す子供たちの学習が過度の受験対策に傾いてしまうのではないのかというものでございました。また、明和高校をはじめとする探求学習重視の中高一貫校は県内有数の進学校でもあることから、難関大学へ進学をするための指導を期待して受験をする子供の割合が多くなってしまうのではないのかという声もございました。  これらの懸念には、適性検査の内容は、小学校学習指導要領の範囲内で、思考力や判断力などを総合的にはかるものとし、高度な知識や知識の量を求める学力検査とはしないこと、また、中高一貫校では、探求的な学びを重視し、大学受験に特化をした学習指導は行わないことなどを来年度導入校ごとに開催をする説明会で保護者をはじめとする関係者の皆様にきちんとお伝えをしてまいります。さらに、こうした考え方や対応につきまして、市町村の教育委員会や学校現場とも情報を共有し、共通認識の下で進めてまいります。そして、県立中高一貫校の開校による効果や影響につきましては、きちんとフォローと検証をし、よりよい学校づくりに生かしてまいります。  最後に、中高一貫校の取組をどのように地域に還元をし、子供たちの個性や能力の発揮につなげていくのかについてお答えをいたします。  中高一貫教育の導入によりまして高校受験がなくなりますので、中学と高校の探求学習が切れ目なくつながり、より深い学びが可能となります。そのため、市町村立の中学校から派遣をされて併設中学校に勤務をする教員が、これまで経験をしたことのない中高六年間の子供たちの成長の様子を間近で見ることができ、数年後に地元の中学校に戻ったときには、中高一貫教育の中で培った高い指導力を授業に生かすことができると考えております。  また、併設中学校と地域の中学校の生徒たちが学習面でも交流をし、それぞれの探求的な学びの成果を発表し合うことで互いに刺激を受けて学びが一層深まり、意欲の向上にもつながるものと考えております。  こうした教員や生徒の交流を通して、中高一貫教育の取組の成果を地域に還元し、地域全体の子供たちが個性や能力を伸ばしていけるような学びを実現してまいります。 48: ◯知事大村秀章君) 谷口知美議員の質問のうちスタートアップ支援について私からもお答えをいたします。  この地域が日本の成長エンジンとして我が国の発展を強力にリードしていくためには革新的ビジネスモデルや、最先端技術をもとに新しい社会システム構築へ果敢に挑戦するスタートアップを起爆剤としたイノベーションを巻き起こしていかなければなりません。そのためには新しいアイデアを生み出す人材、起業を志す若い人材の発掘、育成が必要であると考えます。  そこで、県では、小学生から社会人まで各年齢層に合わせた成長支援のプログラムを提供しております。また、プレ・ステーションAiでは、本県とアライアンスを組む世界最大級のインキュベーション施設であるフランスのステーションFの知見を取り入れ、国籍や性別、年代の異なる多様な人材が互いに刺激し合いながら成長していける環境づくりを進めております。  二〇二四年十月のSTATION Aiの開業に向けて、今後もこうしたプログラムを推進することでこの地域で起業を目指し、チャレンジしていく未来人材を発掘、育成し、多様な価値観を持つ人材の集まる拠点づくりを進めていきたいと考えております。 49: ◯七十三番(谷口知美君) それぞれに御答弁をいただきました。  STATION Aiにつきましても、人材の発掘、育成ということで、これからますます力を入れていただくというようなことでございますので、期待をしていきたいと思います。  ただ、中高一貫校の着実な取組に対しましては、再度質問し、確認させていただこうと思います。  実は、導入方針案が示されたこのタイミングで基本計画を求める質問もいかがなものかというふうに思いましたが、中高一貫校導入はこの十一校だけの話なのか、この後も続くのかなど、大きな方針が見えないために、基本計画という言葉で質問させていただきました。  また、中高一貫校でやりたいことを見つけ、課題解決のために、例えば、大学進学に意欲的に挑戦する生徒の姿は一つの成果になると思いますが、開校後、中高一貫校の教育をどう評価し、検証していくのかも次につながる大事なことですので、計画に入れていただきたいと質問をさせていただきました。  今回の御答弁では、開校準備のために導入校ごとにワーキンググループをつくり、検討を重ね、検討委員会でチェックしていくとのこと、また、計画については、アクションプランをつくって、基本計画として準備を進めていくということでした。  しかし、導入校ごとでワーキンググループが準備を進めるに当たっては、県教委が提供する各種条件が必要で、またそれを整えるための県教委の体制強化が必要ではないかと考えていますが、いかがでしょうか。  また、来年秋の説明会や開校まで時間的余裕がない中、真にチェンジ・メーカーを育成する中高一貫校の準備を着実に進めるため、スケジュール感が見えるアクションプランについて、その策定時期をお示しいただきたいと思います。  以上です。よろしくお願いいたします。 50: ◯教育長(飯田靖君) 導入校ごとのワーキンググループによる検討に当たって、教育委員会のほうからベースとなることをちゃんと事前に決める必要があるのではないか、また、そのために県教育委員会の体制の強化も必要ではないのか、そして、アクションプランの策定時期はどうかという再質問をいただきましたので、順次お答えをさせていただきます。  先日発表いたしました導入方針案は、中高一貫教育を導入するに当たってのベースとなる方針でございますので、導入校ごとのワーキンググループではこれをベースに検討を進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  また、県教育委員会の体制につきましては、導入校ごとに担当をつけて、そして、ワーキンググループとやり取りをしながら内容を詰めていくとともに、大学などの外部の機関との連携を含めて、手厚い体制でしっかりと取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  中高一貫導入アクションプランの策定時期につきましては、来年度導入校ごとに開催をする説明会の開催時には、教育内容や選考方法など必要な事項をきちんとお示しをすることができるようにしてまいりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 51: ◯四十番(南部文宏君) 本日はこれをもって散会し、明十二月七日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 52: ◯議長須崎かん君) 南部文宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 53: ◯議長須崎かん君) 御異議なしと認めます。  明十二月七日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。  本日はこれをもって散会いたします。     午後四時二十一分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...